3 知識の勇者
「おーーさーい、ちーくーーーよ」
お母さんのうるさい声が微かに聞こえてくる
正確にはうるさくはないのだがこうも朝だと夢心地だからうるさく聞こえてしまうものだ。
…やばい、眠い。とっても眠い…
………………………………
「起きなさい、寝坊助。」
「あいた!はっ…ぐ…」
不思議な声を聞き目を覚ました瞬間背中に激痛が走り口を手で抑える。どうやらベッドから背中から落ちたようだった
「はぁはぁはぁ…いっつつ!呼吸困難になるかと思った」
否、柔な私の身体のことだ。たぶん呼吸困難に陥ってはいたのだ。たぶん。
そんなことはどうでもいい。
「あ、今何時だ!?」
時計に目をやる。そこには登校時間にギリギリ間に合うくらいの時間が表示されていた
「これならギリギリ間に合うかな」
と言い急ぎ朝支度を済ませバッグを持ってドアを開ける
「いってきます!」
と誰もいない家の中に朝の挨拶をし駆け出す。
そういえば朝のあの不思議な声はなんだったんだろう…
なんて考えていたからか迫ってきている車に気が付かなかった
ブー!っと甲高い音が響き渡る。
いつもの私なら華麗に躱せることが出来たのだろう、しかし今日に限りその力は不発に終わった
…あぁ、私にも二次元のような力があればこんなこともないんだろうなぁ…
そんな夢は命と共に消えていった
◆
現在地不明、理解
現在地情報を転送
大森林中枢区
大森林奥最深部に存在する世界のありとあらゆる知識が詰まっている図書館がある区画。そこではエルフが棲息しておりかつてここに来た人間は1人しか実在していない。
なお、ここでは大森林に住まうものたちの為、行政、司法、立法を行う最高執行機関でもある
「その本をK9452番へ、次にQ1173番。」
黙々と書類に目を通し判子を押し図書館司書の仕事も両立し遂行。
「少し休まれた方が…」
「結構です。どれだけ仕事をしていても疲れませんので」
秘書官であるエーフィ・エバリシスの休憩の申し込みを拒否。
今この場にいる人しか人物像が分からないため説明を実行。
エーフィ・エバリシス
種族 樹の精霊ドライアド
年齢 351歳(人間換算 27歳の若さ)
B/W/H 91/52/76 Gカップ スレンダーな緑のドレスを着ている 髪の色は空色
温厚な性格でいつもみんなのことを心配に思っている表情豊かでみんなのムードメーカー…になっているらしい
生まれてこの方休んだことがない。寝たこともなければなにかを食べたこともない。
ずっと書類整理の毎日だ。それに他のことをして意味があるのか。
「そういう訳では無いのですが…」
「どういう訳ですか?仕事をしながら解答してください」
そう問うと秘書官は口を噤んでもごもごと何か発しながら仕事を進める
「…はぁ」
「どうかしたのですか?」
「いえ、人が今日の正午頃この大森林を調査しに来るという大変無駄な事を実行するそうで。」
「はぁ…こちらも調査隊を呼び寄せて監視させますか?」
「逆に勘づかれる危険性があるので辞めなさい。無駄な犠牲を出すつもりですか」
秘書官を無表情のまま見下す。
私は無駄が嫌いだ。最初に与えられたものに無駄とは言わないが後天的に発生した無駄は嫌いだ。
問 そこまで無駄が嫌いな理由は?
答 自然に無駄という行為が嫌いになった。
その事を考える時間は無駄なので省略
「…はい、すいませんでした」
おかしな点があったため修正。
今後に支障を来すため修正。
「すいませんではありません、すみませんです」
「はい、すみませんでした!」
…なんなのだろうかさっきから胸騒ぎがする。いつも通りの仕事をして残りの脳で未来を想定しているだけだと言うのに。
…仕事が手につかないな
「少し風にあたって来ます。すぐ帰ってきますから」
「あ…はい。……え!?えぇぇぇぇぇ!?」
そうして生まれてきて最初で最後の最高で最悪な日が訪れようとしていた




