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検索結果『1件』

新連載、完全初心者の第一作目です!

苦しみの中に優しさを求める人、楽しみの中に正しさを求める全ての読者に楽しんで頂けますように〜


もちろん、あなたにも!!

「――というわけでですね、勝者さん。厳しいことを言うようですが、あなたの職歴ではご希望の条件に合う求人は……現在の市場には存在しません」


 ハローワークの相談窓口。

 アクリル板越しにハゲ頭の相談員から告げられた言葉に、俺――勝者 アラタ(かつもの あらた・30歳)は、小さく胃を痛めながら頭を下げた。


「……ですよね。すみません、出直します」


 責める気にはなれなかった。相談員の言う通りだからだ。

 新卒で入った会社は超がつくブラック企業。そこから逃げ出すように転職を繰り返した結果、俺の手元に残ったのは『飲食』『建設現場』『接客』『営業』『事務』といった、脈絡のない細切れの職歴だけ。

 おかげで就業規則や労働基準法、現場の裏事情には無駄に詳しくなったが、履歴書の見栄えは最悪。どこへ行っても「忍耐力がない」「器用貧乏」と判断されるのがオチだった。

 トボトボと検索コーナーの壁際へ向かう。

 フロアの端っこ、誰も使っていない型型落ちの検索端末がポツンと一台置いてあった。


「はぁ……。残業がなくて、有給がちゃんと取れて、人並みの給料がもらえる職場。そんなの、この世のどこにあるんだよ……」


 心身を削られ続けた過去のトラウマが蘇り、ため息が出る。

 俺は気弱で、争い事も苦手だ。ただ普通に、人間らしく働いて、普通に生きたいだけなのに。

 半ば自暴自棄になった俺は、タッチパネルに向かって、絶対に現実の日本には存在しないような『夢の条件』を打ち込んでいった。


【勤務地】残業なし・転居あり(住居保証)

【給与】経験・能力に応じた報酬(プロジェクト時・高額ボーナス)

【休日】完全週休2日・有給あり・各種手当支給

【福利厚生】応相談


「……我ながら酷い高望みだな。この世のものとは思えない。」

 自嘲気味に笑いながら『検索』ボタンをタッチする。

「該当する求人はありません」と出たら、おとなしく警備員か清掃のバイトでも探そう。そう思いながら。

 だが――画面がピタリと止まった。


『………………』

『検索中…………』

『条件に合致する求人がヒットしました』


「え……? マジで……?」


 画面の中央に、ポツンと文字が浮かび上がる。


『検索結果:1件』

『職種:異世界勇者(永年雇用)』

『事業内容:魔王軍討伐および地域治安維持プロジェクト』


「……は? い、異世界……?」

 冗談だろ、と画面を二度見したその瞬間――!

 検索端末の画面が眩い黄金色の光を放ち始めた。

「うわっ!? なんだこれ、故障か!?」

 光は端末から溢れ出し、俺の足元に見たこともない複雑な魔法陣を描き出していく。

「ちょっと! 画面から光が――!」

 叫ぼうとした俺の声は、光の渦の中に飲み込まれて消えた。

 ――こうして俺の、前代未聞の『異世界転職活動』が幕を開けたのだった。

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