第90話 魔法陣学
「魔法の基礎はイメージを元にした詠唱、だけどさらにその源流があるの。魔法はもともと魔法陣を描いて発動していたのだけど、時間がかかりすぎる」
「そこで、詠唱……ですか」
知らなかったよ。
「そう。魔法を使いやすくしたのが詠唱という技術なの。元になった魔法陣を理解しない限り魔法の深淵には辿り着けない」
そして、アガタ教官は紙を取り出した。
「この紙に書かれてる魔法陣を正確に書き取って。今は書くだけ。魔力を込めて書くと暴発して危ないからね」
そうして言われたとおり黙々と魔法陣を書き写す僕とメルティさん。
地味だ。
タブレット……なんてものはないし。
よくわからない文字もどきや線をひたすら模写していくこの授業は、エンジョイ勢には無理っぽい。
「理屈は後でついてくるしちゃんと教えるわ! 今は手に覚えさせるのよ! いろんなパターンの魔法陣を覚えるのが最終的に近道になるからね」
終わりが見えない作業って辛くない?
◇◇◇
「手が痛くなったね、アランくん」
「そうだね、メルティさん」
魔法陣学の教室から出る。
なんだか疲れた。
が、それを狙ったかのように敵が現れた。
「おいド平民、姿を見ないと思ったらエリートぶってたのか? まさかアガタ教官とお近づきになりたいからとかじゃねえよな」
何やら魔道具を持って僕の前に立ちはだかる赤い髪をしたお坊ちゃま。
「おまえ、この学園にきて本気で宮廷魔術師になれると思ってんのか? 薄汚い平民と誰が肩を並べて魔術師になりたいと思う? そもそも王宮に入れねえんだよ、お前は!」
「そうなんだ」
宮廷魔術師になりたいわけじゃないんだけど、そんなこといちいちこいつに教える必要はない。
「何なんだその態度はっ! 僕が巨乳のアガタ教官に魔法陣を学ぶ資格がないと言われて教室を出禁にされたことをバカにしているなっ! お前の罪は重いぞ!」
美人教官にお近づきになりたくてあの講義受けたら地味な書き取り作業で心が折れたあげく文句言ったから出禁にされたんだろうな。
そして、あのアガタ教官なら普通に言いそうだもんな。
美人で紫の髪がミステリアスさを出してて胸が大きいけど、中身はめっちゃスパルタでエンジョイ勢大嫌いだからね。
そうしてそいつは魔道具を構えた。
「これは、相手の魔法を奪うレア魔道具だ。生意気な平民が宮廷魔術師を目指そうなんて二度と思わないようにお前の持ってる魔法を奪ってやる! さあ、大人しく罰を受けろ!」
「僕わるい平民じゃないよ」
「ほざけ、罪のない平民などいるものか、いい平民は死んだ平民だけだ! さあ食らえ、『マジックスティール』!」
そしてその魔道具に魔力を込めるお坊っちゃん。
口上が長いよ。
これは確かに父が『魔法使いは詠唱中に斬れ』って口酸っぱくケインに言ってた理由がよく分かる。
【神眼】で解析し終わっちゃったじゃん、その魔道具。
そして僕から赤い球が吸い出されて魔道具の元へ吸い込まれていく。
「はっはっはっ、これでお前の努力も無駄になったなぁ! いや、無駄じゃないな、俺様が有効活用してやるぞ! ……うっ、がぁぁぁぁっ、潰れるぅ」
わざと吸われてあげた魔法は、重力魔法。
しかも僕が鍛錬のため重力5倍発動中の状態のやつ。
そして潰れたカエルのようになった赤髪のそいつは助けを求める。
「誰か、助け、苦し、潰れて、死ぬ……」
助けを求めているが未だ発動中の重力魔法に巻き込まれるのを恐れて、助けに来る者はいなかった。
◇◇◇◇◇◇
スキル:【リバース】【神眼】【剣神】【怪盗紳士】【暗黒魔法】【岩鉄魔法】【神聖魔法】【時空間魔法】【灼熱魔法】【凍氷魔法】【マジックハンド】【誘惑】【痛覚緩和】【状態異常完全耐性】【炎精霊の守護】【幻魔】【疾風迅雷】【闇精霊の守護】【怪力乱神】【雷神剣】【強運】【晴嵐魔法】【謙虚】
ランク:シルバー(アリサ:ゴールド)
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