第89話 有望な生徒?
「あーあ、暇だなあ〜。優秀な生徒はみんな卒業したし、どこかから有望な生徒がふらっとやってこないかな〜」
グローリア学園の教官、アガタは暇を持て余していた。
魔法陣学を専門に教えているのだが、実は宮廷魔術師になるために必須の科目。
難易度が高すぎるうえ、エンジョイ勢には全く必要ないのでその存在すらあまり知られていない科目だ。
この間まで教えていた生徒たちは既に送り出した。
次が入ってくるまではまだしばらく時間がかかるだろう。
もっといい教え方でも研究しようか、それとも基礎修練をやり直して自身の魔力を高めるか。
そんなことを考えていると、久しぶりに教室のドアが開いた。
「ここが魔法陣学の教室ですか?」
少年が入ってきた。
知ってる、確かギース様が推薦枠で入れた平民の生徒だ。
平民で入ってくるのはおよそ大商人の子弟くらいなものだが、それなりに貴族とのコネを作ってから退学する者がほとんど。
さあ、この少年はどんな子かな。
ギース様の推薦だからね……甘くしてあげたほうがいいのかしら。
ちょうど他に生徒もいないことだし。
◇◇◇
クラースさんに教えられて向かった教室では、紫の短髪で理知的な顔をした女性の教官が暇そうにしていた。
まともな講義をしてくれそうだ。
ちなみに胸も大きい。
「クラースさんから聞いてきました。学び放題だと」
「あのお調子者からね。どう聞いたか知らないけど私の講義は厳しいわよ。ただで宮廷魔術師になれるとは思わないでね」
「宮廷魔術師になりにきたのではないのですが……」
「じゃあ何しにきたの? 目標は?」
「できるだけ強く、死なないために」
「え、うーん……そんなふわっとした目標で大丈夫?」
「わりと本気なんですが」
僕は教官の目を見つめた。
向こうもこちらの品定めをしてきた。
「……ま、いいか。どうせ暇なんだし。じゃあ早速始めていい?」
「お願いします」
「あ、その前になんか魔法見せてくれる?」
なんか、ってそれもふわっとした指示だな。
「はい、『ヘルブレイズ』」
手のひらからどす黒い炎を巻き起こす。
カッツェが使っていた魔法のワンランク上だ。
「え、ちょっと待って、なんでそれを使えるの? しかも無詠唱で! クズだけど天才だったカッツェの魔法じゃない! いえ、それよりも強いわね」
「やったらできました。たぶん【灼熱魔法】と【暗黒魔法】が使えるからだと思います」
「ねえ君、何を学びにきたの?」
「知らないことを学びにきました。知らないより知ってる方がいいだろうと思うので」
「なんでそこだけ常識的なのよ……」
「教えを受ける資格はありますよね、よろしくお願いします、えーと……」
「私はアガタよ、アランくん。ギース様の推薦だから甘くした方がいいと思ってたのだけど、その必要はなさそうね」
「はい。むしろ忖度したらギース様は怒ると思います」
「忖度したら怒られるなんて理不尽だわ。なら、今度こそ始めましょう」
「アガタ教官、よろしくお願いいたします」
と、始めようとしたらまた教室のドアが開いた。
「ちょっと待ってください!」
入ってきたのはメルティさんだ。
「私もその講義受けさせてください!」
「はあ、いいわよついでだし。付いてこれなかったら叩き出すけど。エンジョイ勢は認めてないから、わたし」
◇◇◇◇◇◇
スキル:【リバース】【神眼】【剣神】【怪盗紳士】【暗黒魔法】【岩鉄魔法】【神聖魔法】【時空間魔法】【灼熱魔法】【凍氷魔法】【マジックハンド】【誘惑】【痛覚緩和】【状態異常完全耐性】【炎精霊の守護】【幻魔】【疾風迅雷】【闇精霊の守護】【怪力乱神】【雷神剣】【強運】【晴嵐魔法】【謙虚】
ランク:シルバー(アリサ:ゴールド)
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