第85話 詠唱とは②
「魔法に慣れれば慣れるほど短縮詠唱でも発動します。例えば、『うなれ爆炎、バーン』」
僕が受けた次の講義で、説明した教官の手のひらから大きな炎が立ち昇る。
「さらに熟達すれば無詠唱でも十分な効果を発揮します。そこまでいかなくても何を発動するか事前に悟られないため威力を犠牲にして無詠唱を優先することも考えられます」
そして、いったん炎を消す教官。
「『バーン』」
今度発生した炎は先ほどより少し小さかった。
「ちっ、平民の傭兵や騎士を前衛で盾にしてれば詠唱してても問題ないだろ、発動すればいいんだからな」
教室でどっかの貴族の生徒が舌打ちする。
乱戦になったらそんなわけにいかないのにね。
◇◇◇
休み時間。
「ねえ、アランくんは無詠唱できるの?」
「たぶんできると思う」
メルティさんから聞かれるが、ほぼ全てできます。
っていうかリバースで取得したスキルに関しては初めからすべて無詠唱で使えたからわざわざ詠唱したことはあんまりない。
父がケインに『魔法使いが詠唱している隙に斬り殺せ』って教えていたのを何度も聞いてたから、あんまり詠唱する気になれないというのもあるんだけど。
そんな父だが、身体強化魔法だけは無詠唱で発動できる。
身体強化魔法の詠唱中に斬り殺されたらたまんないからだろうね。
「入学のときに案山子を消滅させたってホントなの? そんな噂が流れてるよ。学生用だからそんなに強度が高くないはずだけど、それでも大抵の魔法に耐えられる高価なやつだよ」
「げっ、やばっ、あれそんなに高いんだ。学園から請求されたら払ったほうがいいのかな……」
学園の予算内でなんとかするものなんじゃないかとは思うけどね。
「それにギース様が推薦人なんて、確かにギース様は平民にもお優しい方だけど、実はアランくんすごい人なんじゃ……」
「ギース様がすごいからって僕がすごいということにはならないよ」
◇◇◇
そして、メルティさんと話しながら教室の外へ出ようとすると、机から足が出てきた。
すかさず自分の足に『ハードボディ』を発動する。
土魔法の身体強化魔法により鋼鉄並みに硬くなった僕を転ばせようと足払いがきたが、逆にそいつの足が折れた。
「うぎゃあああ、いてぇよおおおお!」
周りがなんだなんだ、とばかりにこっちを見る。
「だ、大丈夫ですか?」
メルティが心配して声をかける。
「ふざけんなよアラン、平民同士イチャイチャしやがって俺の足が折れたじゃねーか! そこは無様に転ぶところだろ! 俺様に謝れ!」
女の子と歩きながら話したらイチャイチャって……。
思春期かな?
「いやだよ、足をかけようとしてきたのはそっちでしょ。仮に僕が転んだとしてメルティさんは僕をかっこ悪いって笑ったりしないから」
勝手に言い切ったけど、笑わないよねメルティさん?
「笑わないけど。アランくん、それよりも早く謝ったほうがいいよ、相手はケンゾール伯爵様のご子息なんだよ!」
メルティさんが教えてくれた。
でもね、僕にとってはだからどうだという話なんだ。
「おまえ、僕を怒らせたな! 『怒りの意思が形をなして爆裂する炎弾とならん、爆ぜろ、バーストショット』!」
火の魔法っぽいから水系統の魔法で迎え撃とう。
『アクアシュート』くらいでいいかな。
僕は手のひらから水の弾丸を出した。
◇◇◇◇◇◇
スキル:【リバース】【神眼】【剣神】【怪盗紳士】【暗黒魔法】【岩鉄魔法】【神聖魔法】【時空間魔法】【灼熱魔法】【凍氷魔法】【マジックハンド】【誘惑】【痛覚緩和】【状態異常完全耐性】【炎精霊の守護】【幻魔】【疾風迅雷】【闇精霊の守護】【怪力乱神】【雷神剣】【強運】【晴嵐魔法】【謙虚】
ランク:シルバー(アリサ:ゴールド)
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