第84話 メルティ
「かまわぬ。公爵様のただの戯れよ。平民などいくらでも替えがきくからな。むしろ実験台を提供してくださったと考えるのだ!」
「「「わかりました!!」」」
そういうと火やら水やら石やらが飛んでくる。
が、全て賢者のローブに阻まれて僕に届く前に消えていく。
「教官、魔法が届きません!」
「ええい、未熟者めが! アランよ、大人しく魔法を浴びていればよかったものを! 教官に逆らったことを後悔させてやる! 『彷徨える獄炎よ、いま再び現世にて破滅をもらせ、ヘルファイア!』」
黒い爆炎が僕に向かってくる。
これは生徒に向けるレベルじゃないよね。
生徒どころか大人でもアウトなやつだ。
「フハハハハッ! その炎はお前を燃やし尽くすまで消えんぞ!」
ほんとに燃やし尽くすまで消えないのかどうか、試してみよう。
「反射魔法『リフレクション』」
四角い光の壁が僕の前に現れて獄炎を教官に向かって跳ね返した。
「私の魔法が跳ね返されるだと! まずいっ、彷徨える獄炎よ……、間に合わんっ!!」
同じ魔法を撃って相殺しようとするが間に合わず、黒い炎は教官を包み込む。
「あついっ、だれかっ、消し、て……」
教官はあっという間に灰となるまで燃え尽きた。
自分で自分の魔法の威力を示したのでさぞや誇らしいだろう。
僕を消しにきたのだから、消される覚悟もあったはず。
「……これ、授業はどうなるのかな……?」
僕をかばおうとしたラティール商会のお嬢様がつぶやいた。
大丈夫、教官の替えはいくらでもいるから。
そのあとこの場での出来事について生徒全員に聞き取りがされ、僕は素直にあったことを話しておいた。
なお教官の戯言を間に受けて僕に魔法を放ってきた生徒たちは、忘れずにあとで魔法系スキルを奪っておいた。
◇◇◇
「私、ラティール商会のメルティっていいます。アランくん、って呼んでもいいかな?」
「いいよ」
ピンク色の髪の少女と食堂で話をする。
食堂はあまり人がいない。
貴族はみんないったん家に帰るか、個室で取るからね。
「庇おうとしてくれてありがとう。毎回魔法の試し打ちにされてたら無事じゃ済まないと思うんだけど」
気弱そうなメルティさんは僕と同い年くらいらしい。
「私、生まれつき魔法に対する抵抗力が強いんです。それに家に帰ったらエリクサーがあるから傷跡なんかも残りません」
それは……何ともコメントしづらいな。
「父からは貴族と顔つなぎをしてこいと言われていますので。商家の娘ですから半ば諦めています」
そのへんの貴族のボンボンより覚悟があるんじゃないか、メルティさん。
◇◇◇
「フーリエ学園長! あのアランとかいう平民のことでありますが! 教養もない冒険者上がりの者を入学させるなど!」
学園会議の場では、アランを入学させたことに対して不満が渦巻いていた。
「口を慎むのだ。ギース公爵様が推薦枠を行使なされたのだぞ」
「公爵様は何を考えておられるのか⁉︎ あのお方はそもそも平民に甘すぎるのです! 平民の人気取りなどしてもしや王位を狙っているのでは……」
「公爵様には何か崇高なお考えがあるのであろう」
「学園長! 話を逸らさないでいただきたい! ……まったく由緒ある学園に貴族以外の者が入るなど私はそもそも反対なのです……」
相変わらずうるさいやつらだ。
そもそもこの学園は有望な魔法使いを育成するために始まったはず。
いつのまにかしょうもない貴族の子弟の箔付けに利用されていることこそがおかしいのだ。
そんなことを思うフーリエ学園長はこのあとに、平民虐めで有名な獄炎使いの教官がアランにより消し去られたことを知ることになる。
◇◇◇◇◇◇
スキル:【リバース】【神眼】【剣神】【怪盗紳士】【暗黒魔法】【岩鉄魔法】【神聖魔法】【時空間魔法】【灼熱魔法】【凍氷魔法】【マジックハンド】【誘惑】【痛覚緩和】【状態異常完全耐性】【炎精霊の守護】【幻魔】【疾風迅雷】【闇精霊の守護】【怪力乱神】【雷神剣】【強運】【晴嵐魔法】【謙虚】
ランク:シルバー(アリサ:ゴールド)
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