《私をここから連れ出して》
あぁ、世界の全てが嫌になる。これは、きっと悪い夢。現実なんて生きてるだけでもううんざり。それなら、こんな世界から逃げようよ。
さぁ、寝てしまおう?決して目覚めない様に深い眠りの中に。
さぁ、目を閉じてしまおう?大丈夫。これは夢だから、誰も君を怒らない。
さぁ、手を取って?そうすれば、きっと何も考えなくても済む。そして、永遠の眠りについて仕舞おう?
暗闇の中。虚な目をした私の目にはピエロの様な服装をした少女が映っている。呼んでいる、私を。
少女が、、、わタしを...ヨんデイル...。
(ワタシハ...モウ...イキテイテモ......イミガ......
ダカラ...コノテヲ...)
アソコニハ...ヌクモリガ......アノヒノ.....ワタシガ...
テヲ...ノバ...セ...バ...ソ...コニ...。
「何してんだい!!そこに、あんたが求めてるのは無いよ」
.........お婆ちゃん?確かにお婆ちゃんの声が聞こえた。間違えない、間違える筈が無い。あれは、絶対にお婆ちゃんの声。
私のお婆ちゃん。数年という妖精にとって、ほんの一瞬の時間しか一緒に入らなかったけど、幼い私の側にいつも居てくれた大事な人。そして、私の中の大切な記憶。
そうだ、何をしているんだ私は‼︎あんな暗くてジメジメしてそうな所にお婆ちゃんがいる訳無いじゃ無いか‼︎お婆ちゃんは、もっと陽だまりの様な場所が好きだった!!!
「さて、良くもやってくれたわね?」
正気に戻った私は、目の前の少女を睨みながら構えた。不思議と体の痛みが、無いお陰で戦う事は出来る。
「えぇ...?家族の絆とかそんなんありなの?なんか、三流のお涙頂戴系の映画見せられた気分なんだけど...はぁ、萎えるなぁ...。何?幽霊感動系とか今時流行らないでしょ?寧ろ、何見せつけてんのって感じ。なんか、僕。興醒めしちゃったなぁ...はぁ...」
少女は、つまらなそうに呟く。そもそも、この少女は一体何者なんだ?私は、少女を見つめる。
赤いリボンに薄紫のツインテール。魔女の様な帽子にピエロの服装。子供の様な顔付きだが、その瞳は、見た者を惹きつける琥珀の様なライトグリーの色をしていた。
「ねぇ?お姉さんは、何しにここに来たの?いや、違うな...ユーは何しにこの森へ?」
「 ......調査よ」
私は、更に警戒を強める。目の前の少女は、子供の様な見た目をしているが恐らく格上だ。そう、私の中の長年の感がそうひしひしと訴えかけてくる。
「へ〜。まぁ、そんなのどうでも良いけどさ。別に、僕の仕事に侵入者の排除とか入って無いし...」
その割には、私の事闇に連れ去ろうとしてたみたいだけど...?
「だって、たまたま散歩してたら中々良い個体が落ちていたんだもん。それは、誰だって拾いたくなるよ。あ!今、動揺しましたね⁉︎分かりやすいかよ」
こいつ‼︎私の心を読みやがった。待て、昔聞いた事がある。確か、この国の西の方には人の心を...
「ブブゥ‼︎ハズレぇ!!僕は、その種族じゃ無いよ。そもそも、この国の生まれじゃ無いしね!!でも、ヒントはあげる。僕ってば、やっさし〜!!
はい、拍手して。ヒントは、ここは夢の中‼︎まぁ、正確には夢みたいなもんかな??知らんけど」
このピエロの少女と話して、一つ確信した事がある。いや、正直薄々思っていたけど...。
「私の苦手なタイプ...」
「う〜ん!!ストライク‼︎まさに、直球ど真ん中‼︎
いや〜、一周回ってもはや清々しい気分だよ。いくら、心の声が漏れてるからって声に出すなんて!!
君も中々いい性格してんね!?」
「煩い...」
目の前で、ワンアクション事に頭を抱えたり笑ったり泣いたりするこの少女に対してついつい本音が漏れてしまう。私、昔からこの手のタイプの人は得意じゃ無いのよね...本当に。
「良いね、良いね‼︎さっきの三流劇より、僕的今の君の方が断然好きだよ。べ、別に勘違いしないでよね‼︎好きっと言ってもラブじゃ無くてもライクなんだから‼︎まだ、君と僕とじゃ好感度を上げる必要があるんだから!!」
なんか、話聞いてたら頭痛くなってきた...はっ‼︎ま、まさか‼︎これが作戦?私を油断させて罠にかけようとしてるんじゃ。
「おいおい、僕ちゃんの渾身のツンデレをガンスルーとか酷いじゃ無いか‼︎これじゃあ、フラグ立たないぞ?」
「それで、ここからどうすれば出られるの?」
「全スルー⁉︎ありだね!!でも、君?ここから、出ても死ぬだけだよ?」
うっ、た、確かに...。今は、体に痛みやデバフは無いがまた目が覚めたらあの絶望が帰ってくるのか。それに、こいつのいう通り死ぬ可能性も十分ある。
「こいつ呼びとか...もう、僕達......マブダチみたいなもんじゃん。ふ〜ん、マブじゃん」
だが、それでも此処を出ない限り先には進めない。こんな良く分からん奴と一緒にいたらまた私が可笑しくなってしまう。
「もしも〜し?聞いてる〜?ねぇねぇ‼︎聞いてる」
まずは、夢から覚めて状態の確認。もし、飛べるなら一時的にこの森から避難。飛べそうに無
(聞こえますか...?聞こえますか...?今僕は...心に直接...)
「うるせぇ!!少し黙れ!!!!」
「しょぼーん (´・ω・`)」
駄目よ、駄目。冷静になって私。そう、クールになりなさい。こいつは、敵。私を油断させて襲う気でいる。
今、怒ってしまったらそれこそ奴の思う壺。だから、決して敵なら1発ぐらい殴っても良いんじゃなんて思ってはいけないわ。今は、考え無くてわ。
えぇ...っと?確か、何処まで考えていた、そう‼︎
それで、もし飛べ無かったら......ん?ちょっと待てお前。何持ってんのそれ?ま、まぁ良いか。それで、飛べ
「それでは、聞いて下さい。私から愛を込めて...《森のウルフさん》」
「ダァァァぁぁぁ‼︎‼︎なんなのよ‼︎さっきから‼︎」
私の堪忍袋は、既に臨界点をとっくに超えてブチギレてあり思わず手が出てしまう。だが、今の私に後悔などある訳が無い。
「危ねぇ...‼︎流石の僕でも、マイクが無ければ即死だったぜ」
「ガルルルルゥゥ...ゼッタイナカス‼︎」
「どうどう、ほら棒あげるから。落ち着いてね?ほら、あげたよ?上に‼︎」
「ナカスゥゥ‼︎ゼッタイコノアマナカス!!」
「私、あんたの事嫌いだわ」
「僕は、君の事すっごく気に入ったけどね‼︎」
はぁ、厄日だ。なんで、こんな頭の可笑しい変な奴に好かれてしまったのか。どうして、こんな森に入ってしまったのか。なんで、私に誰もついて来ないのか。はぁ、不幸だわ。
「え?単身?しかも、それが誰もついて来なかったからなんて...なんて...なんて‼︎面白いんだ!!おいおい、これ以上私の好感度を上げるなんて‼︎さては、恋愛マスターだな!!大好きだぜ‼︎」
ビシッとポーズを、決めながら私の事を指刺して来る。はぁ、なんか...もう寝たい。いや、この際贅沢は言わないから不貞寝したい。何してるんだろ...私。
そこには、死んだ目の私と楽しそうな少女という謎の空間であった。誰か、私をここから出して。




