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黄金の果実  作者: 丸大
第1章 リンド・アレクサンドロ
5/8

案内人

今日も1日問題なく依頼をこなしながら達成報酬を貰いラストとたわいのない話をしていた。


ラストは同い年の17歳だ。しかし、ギルド員歴は7年にもなる中堅どころだ。10歳になったときに家族でこの土地に引っ越しを行っていたところ、魔物の群れに教われ家族皆が食われてしまったがたまたま通りかかったギルドマスターが生き残ったラストを助けて以来身よりのなくなったラストはこのギルドで働いているらしい。ラストはギルドマスターの息子という扱いでラストの家はギルドマスターが住む家ということだ。


いくら身よりがなくなったと言ってもラストが10歳からギルドで働けているのには訳がある。簡単な話だが彼には素質があったのだ。ラストの最高レベルは96らしくステータスも高い。特に魔法抵抗力と素早さが高いのでシーフに向いているのだ。それだけの能力が有れば恐らくガーランド学校の英雄科にも合格できるのだが彼は勇者に興味がないらしい。ギルドマスターに救ってもらった恩を返すことしか頭にないということだ。


そんな素質があるラストの事をたまに恨めしく思ってしまう自分がいる。自分にその素質があったら最初に夢見た勇者になれたかもしれないのにと。しかし、それは自分が悪いのであって彼が悪いわけではないので彼の事を嫌いになるということは全くないのだ。


そんなこんなでラストと話しているとギルドの奥から見慣れた二人が出てくるのだった。


「がっはっはっはっは、うちの若いやつは優秀だのう」

「ええ、私たちの立つ瀬がないですね」

「そうじゃのう、がっはっは」


大きな笑い声で豪快なしゃべり方をしているのが副ギルドマスター マージさんで、落ち着いていて丁寧なしゃべり方をしているのがギルドマスター コモスさんだ。


2人とも英雄科に通ったことがあり、マスターのコモスさんは元勇者だ。つまり英雄科の数少ない卒業生ということだ2人は英雄科の同級生でマージさんも年数を掛ければ卒業できたかもしれないのだが、コモスさんが卒業するときに学校を退学しコモスさんと旅をしていたらしい。なんとも豪快な人だと思う。


コモスさんは最短の3年間通うだけで卒業できた人で素質は250レベルとか言うすごい人だ。勇者をやめてギルドマスターになったのは何か理由があるらしいがほんとにもったいないと思う。ちなみにマージさんの素質は120レベルで勇者としてやっていくのに全く問題ないのだ。もう一度言うがこの二人が勇者をやっていないのはほんとにもったいないことなのだ。


そんな2人がいることギルドは小さいながらも有名なギルドで名前が「猫のすみか」だ。可愛らしい名前だ。というかはじめて聞いたときはほんとにギルドなのか混乱した。有名なギルド名としては「火竜の豪炎」「聖水の泉」「深緑の大地」など聞くだけで頼りになりそうな名前の所もあるのに「猫のすみか」なんて頼りにしていいのかわかんない名前なのだが有名なのだ。ギルド名をつけたのはマージさんで名前を考えているときに猫が目の前を通ったかららしい。豪快だ。言い方を変えれば適当なのだがここはあえて豪快と言っておこう。


そんな2人に誉められた僕は嬉しかった。このギルドで役に立てていると実感できたからだ。そんな僕を見てルミエールさんは僕に微笑んでくれた。今日も可愛い人だった。


「そんな若くて優秀な2人にお願いがあるのですが聞いていただけますか?」

「お世話になっているマスターの頼み事なら断るわけにはいかないですね」

「もちろん俺も断る気はないぜ」


そういって僕達2人はマスターの頼み事を聞くことにした。内容はこうだ。マスターの知り合いの娘さんが僕達と同い年くらいでこの度はじめてこの土地 カレイド王国に訪れたらしくこの土地を案内人でかつ年も近い僕達2人に案内をして欲しいと言うことだった。報酬はマスターから直々に出してくれるとのことだった2人して二つ返事でお願いを受けて報酬は断った。お世話になってるギルドマスターに少しでも恩を返したいのだった。


「お二人とも有難うございます。彼女は明日の10時にこのギルドに来てくれることになっているのでお二人もそのくらいにお願い致します」

「一応、わしの知り合いでもあるからの。二人とも明日は頼んだぞ、がっはっは」


そんなこんなで僕とラストは明日に備えて早めに帰って寝るのだった。


次の日、9時半にはギルドについて案内の準備をしようとギルドに入ったところなぜか修羅場だった。


「私がこんなに早く来ているのに案内人がいないとはどういうことなのですか!お父様の信頼するギルドと言うから期待していたのにさっそく裏切られましたわ!」


今の話を聞くに僕とラストが案内する予定の女の子とは彼女のことみたいだ。というか10時にくるんじゃなかったのか?そんな疑問を持ちつつ彼女に声をかけた。


「遅れて申し訳ありません。今回あなたの案内人を勤めさせていただきますリンド・アレクサンドロともうします。マスターからは10時に来ると聞いていたので早めに来て準備をするつもりだったのでまだ準備ができていないのですが急ぎますので少しお待ちいただけますか?」


声をかけた僕の事を彼女は睨んでいた。眼光が鋭すぎてびびった。最強でも怖いものは怖いのだ。


とにかく急いで準備をしている間にラストも来たので予定より少し早い9時45分には案内を開始することになった。ちなみにルミエールさんに聞いたら彼女は9時には来ていたそうだ。早すぎる。恐らく彼女が集合時間を聞き間違えたのだろうがお客様なので追求はするつもりはなかった。聞いてにらまれるのが怖いとかそういうわけではないのだ。


そうしてマスターの知り合いの娘さんである タラリスを満足させるためにこの王国の案内できる最高の場所を必死に二人で案内した。案内している間は彼女も予想以上に楽しんでくれたのか笑顔が多かった。ラストに向けたものなのだが。こちらを向くかおはあの鋭い眼光だった。ラストはタラリスのお気に入りのようだった。今までいってなかったがラストももちろんイケメンだ。口調からは感じさせない爽やか系のイケメンだ。そりゃモテるよね。


そうして彼女を案内しながら歩いていると僕達がなぜ案内人に選ばれたのか、いや正確には彼女の好みのラストだけでなく僕も案内人に選ばれたのかその理由を知る出来事が起きたのだった。


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