08
桜花が東に歩みを始めて3時間がたった頃ようやく街が見えてきた。
「おー!やっぱり中世風なのな!これぞ異世界って感じ!」
桜花の目に飛び込んできたのは石で出来た壁に囲まれた中世風の街並み。
門の辺りに目をやると門番らしき人影が見えたので桜花はそこに近づいて行く。
「門番さんこんにちわー!」
桜花が声をかけると門番らしき人は怪訝そうな顔をしながら声を返す。
「こんにちわ、見たところ軽装のようだけどどこからきたんだい?」
桜花はこの時自分の格好を思い出す、異世界に来た頃に来ていた服はボロボロになったので捨てて今はハクが何故かもっていた旅人風の服を来ている、むろん荷物などは持っておらず刀を腰に差しているだけの格好だ。
「えーと、実は旅をしている途中に魔物に襲われて命からがら逃げたのは良かったんですけど迷ってしまって一月ほど迷子だったんです…」
(やばい、異世界からきましたーなんて言ったら変人扱いされそうだし、こんな感じで騙せないか!?)
門番は怪訝そうな顔をしながら少し考えたあと、
「そうか、それなら仕方ないな…よく一月も無事でいられたな!」
「えぇ、幸い小型の生き物くらいなら狩ることができましたし、果物をありましたので…」
(おぉ?なんとかなりそうだ!)
「うむ、そうか!ところで身分証は持っているかな?」
「いえ、実は魔物に襲われた時に無くしてしまったようで…」
「そうか…となるとお金ないか?入税と保証金に銀貨10枚が必要になるのだが…」
「いえ、お金だけはなんとか持ってますね、」
桜花はハクからもらった金貨を出しながら答える。
「む?金貨か少し待っていてくれお釣りを持ってくる…」
そう言うと門番は走り去っていった…
桜花はその場で数分ほど待っていると門番が帰ってきた、何やらプレートのようなものを持っている。
「おまたせ、これがお釣りの銀貨90枚と仮の身分証だ、仮の身分証は街で身分証を作ったあとに返しに来てくれればいいから、」
「すいません、ありがとうございます…ところで身分証はどこで作ればいいんですかね?」
(なるほど金貨1枚は銀貨90枚か…)
「ん?そうだなこの街に住むのでなければ冒険者ギルドや商業ギルドでつくればいいよ」
「そうなんですか、ちなみに冒険者ギルドの場所を教えてもらってもいいですか?」
「門を出てまっすぐに行くと剣と盾の看板が見えるからそこが冒険者ギルドだよ」
門番は門の向こう側を指さしながら答える
「すいません、わざわざありがとうございます!」
(ふぅ…いい人そうで良かった…)
「ごほん、それでは辺境の街リザへようこそ!」
そして桜花はついに異世界最初の街リザへ足を踏み入れる。
「へー、結構人が多いな…」
リザの街並みを見ながら冒険者ギルドに向けて歩みを進める桜花、そして10分ほど歩くと剣と盾の看板が見えてきた。
「あそこが冒険者ギルドか…」
二階建ての冒険者ギルドの前に立ち扉を開けると予想にたがわず、粗暴な輩が酒を酌み交わしている、
その奥にはカウンターがあり猫耳の受付嬢…などはおらず普通の女性…と言ってもかなり可愛い人が数人とおっさんが何人かいる。
「猫耳受付は居ないか…まぁ、美人な受付がいるからいいかー」
桜花がカウンターに向かいゆっくり歩みを勧めていると…
「おいおい、お前みたいなガキがなんのようだぁ?」
「うるせぇ、ハゲっ!」
身長2m程の筋骨隆々なハゲたゴリラ顔のおっさんに絡まれたので瞬時に蹴りを入れるとおっさんは吹き飛び壁に激突した。
桜花が辺りを見回すと酒場がシーンとなっている…
「……やっちまった」
桜花は頭を抱えながらカウンターに歩みを進めていく…