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ダンジョン学園サブカル同好会の日常  作者: くずもち


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第255話攻略君はあっさり語る

「それは最高ですね! じゃあ! みんなにも教えてあげましょう! 魔王城探索開始です!」


 結局、僕が魔王城の目玉機能を教えると、感激したレイナさんはヒャッホイと奇声を上げて、走って行ってしまった。


「にぎやかだなぁ。しかし終始翻弄されてしまった……」


『君ってそういうところあるよ。いいところなんじゃないかな?』


「あんまり嬉しくない……そんなに流されやすいかな?」


 攻略君の余計な一言は気になるものの、とはいえ城の中には実際僕もすごく興味はある。


 ちょっとすごすぎて手に負えないものだと感じつつ、僕はまず行くべきところがあるという攻略君のナビに従って歩いていた。


 その間、攻略君は終始ご機嫌だった。


『ふっふっふっ……いや、しかし気分がいい。どうも知識というやつは、我々界隈では低く見られがちでね。その私の権能に目覚めた者がダンジョン踏破一番乗り……これは痛快だ』


「そういうのあるんだ……」


『あるとも。やはりそこは力を分け与えた者に活躍して欲しいものなんだよ』


「そういうもんなんだ? しかし踏破か……いつかこのダンジョンは底がないみたいなこと言ってなかった?」


 確かこのダンジョンは当たりで、底なんてないだったか?


 その情報はダンジョンの根幹とかに関わりそうだと、あえて触れずにおいた部分だが、別に嘘だと言うわけでもないらしい。


『言ったとも……まぁつまりは筒、いや通路なんだよ。最後まで行ったら振り出しに戻るんじゃなくて、向こう側に突き抜けるのさ』


「……!」


 そして考察の燃料がくべられる。


 向こう側ってなんなのさ。


 そう思ったが、僕はセリフに出せずに言葉を呑み込む。


 しかしそれを察した攻略君はわかるとも、と容赦なく言葉を続けた。


『向こう側に行くことを強制はしないさ。このダンジョンってやつは、危険というよりサービスに近いものでね』


「……サービス? どの辺が?」


『繋がった先にある危険はあらかじめ予習しておきたいだろう? どんな資源があって、どんな技術で成り立っているのかも』


「え? それってダンジョンはそれそのものが予行練習になってるってこと?」


『そだよ』


「そだよじゃないんですけど!?」


 さらっと人がせっかく言葉を呑み込んだというのに、重要情報を出して来るじゃないか。


 つまりダンジョンを抜けた先には今までの危険な経験が生きてくる世界が待っていると?


 おおよそ、世界中を混乱に陥れそうな話を世間話みたいにしてくる攻略君はご機嫌のせいか大盤振る舞いだった。


「さっきレイナさんがいる時ははぐらかしたくせにさらっと言うじゃない」


『そうかな? はぐらかしはしていなかったと思うのだが?』


「そう? まぁアレでも権能とは何なのか?の答えとしちゃ間違ってはいないと思うけどさ……ニュアンスとしちゃあ権能の能力が知りたいわけじゃないでしょ? 重要なのは権能が何のために存在するか? 何をするためのサポートなのかってところじゃないかと……」


『ほぅ? いい質問だ。実にいい質問だよ? 続けてくれ?』


「……そ、そう?」


 しまった調子に乗りすぎた。


 いや、好奇心が抑えられなかったと言うべきか。


 わかっていて能力の説明に終始したのは、攻略君なりの気遣いという事らしい。


 どうやら僕の秘密はまだまだなくなってはくれないみたいだった。


『君ら的に言うとマルチバースとでもいうのかな? 君は異世界の存在を信じるかな?』


「語り始めちゃうかー……」


『この扉の先にあるものはそんなようなものだよ。そして権能の役割はこの先に君達を導くことだね』


「おおっふ……」


 ああ、言っちゃった。


 言葉自体には憧れを感じないでもないが、いざ目の前に扉があると困惑してしまうものなんだね。


 この先がゆるふわな癒しの世界だといいんだけど、ダンジョンが予行練習だとすれば、繋がる異世界はずいぶん混沌としていそうだった。


『この先はこちらと同じだね。君達の世界の危険を知らせるダンジョンがある。繋がっているのは最下層だ。……君達の世界で最大の脅威って何だと思う?』


「……人間、ってことじゃないよね?」


『まぁそれも含めてだね。あとは……疫病やら兵器ってところが適当かな? つまりこの先を抜けた階層に入った瞬間、核兵器搭載のミサイルが雨のように降り注ぐ最難関ステージが……』


「……ハイ。この話は終わろう」


『……まぁ君がそれでいいならいいけど』


 いやぁ今日は疲れたね。


 特に激戦よりも最後の話が精神的に疲れました。


 たとえこの先権能持ちがあと一人見つかっても絶対扉は開けないぞと、僕は心に誓った。


「……なるほどなぁ」


『わかってくれたかい?』


「僕の……手に負えないことだってことはよくわかった」


『そうかな? まぁ言うと思ったけど』


 いろいろと気になることを話してくれた攻略君だが、知ったところでどうこうできないスケールだった。


 扉の前に来たからこその補足情報ってことなんだろうけど、困ったものである。


 攻略君の案内が終わる。


 辿りついた先には城の中心らしき部屋があり、扉を開くと赤いカーペットの敷かれた部屋と、やたら大きな椅子が置かれていた。


 部屋の中に足を踏み入れた僕は王様でも住んでいそうな空間に立ち尽くしていると、腕に張り付いていたぬいぐるみがようやく離れて床を転がった。


 ぬいぐるみはトコトコ椅子の方に歩いていくと、その前で恭しく僕に頭を下げてくる。


 そしてどうやらその椅子に座る様に促しているジェスチャーが見て取れて、僕は頭の炎を揺らめかせた。


「攻略君……アレは?」


『城の中心。所有権の譲渡が可能だ。トラップの類も解除できるから、城を有効に使うつもりがあるなら座っておくといい』


「手続きとかあるの? ……まぁそういう事なら」


 怪しみながらも、諸々便利そうなので座る。


『君ってやつは……こういう時、全く躊躇わないから素晴らしいね』


「そりゃどうも。……でもまぁ……これで今日の攻略は終了でいいよね?」


 攻略君はおそらく呆れているんだろうけど、今日のはたぶんそういうのじゃないよ。


 さっきから、脳みそが重たくて、思考が纏まらないんだ。


 頭がぐらついて、力が抜けてゆく。もうなんというか―――ヘトヘトだった。


『もちろん……お疲れさまだ。本当に』


「攻略君もお疲れ……」


 腰を下ろすと、ドッと本格的に疲れが襲ってきて、瞼が落ちてくる。


「……」


 これはちょっと抗えそうにないと僕の意識がまどろみの中に堕ちる寸前、椅子を中心にして光が広がって行く城の美しい光景が見えた気がした。


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― 新着の感想 ―
あぁ〜本人の同意なく何らかの手続きが進んでる〜
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