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ダンジョン学園サブカル同好会の日常  作者: くずもち


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第183話新たな常連

 何の変哲もないダンジョン実習の授業中。


 僕が売店にやってくるとこの間貼ったポスターの前でプルプル震えている人がいた。


 え? どうした?


 そしてちょっと怯え気味に店番をしている松林君は、僕の姿を見つけるとパァッと表情を明るくして助けを求めてきた。


「よく来たワタヌキ君! ちょっと! こっち来て!」


「何事?」


「いや良くわかんねぇーんだけれども……この先輩ポスター見たまま動かんのよ」


「……」


 よくよく確認してみる。


 するとそこにいたのは、見覚えのある顔だった。


「烽火先輩?」


 生徒会の会計である烽火先輩は、売店に貼ってあるポスターを食い入るように見つめていたかと思うと、突然僕らに質問をした。


「君達……」


「「はい!」」


「このポスターは本当かね?」


「ええっと……その前に、どうも烽火先輩。生徒会の活動ですか?」


 質問に答える前に一応確認すると烽火先輩はあっさりと頷いた。


「ああ。下級生のダンジョンアタック授業の時は生徒会役員ができる限り見回ることになっている。いやいや、そうではなく。それよりもだ、このファイアーボール氏がアドバイスをくれるというのはいったい?」


 ポスターが気になってしょうがないと言うのなら、僕の試みは一旦大成功と言う事だった。


「それは試みの一つでして。ああちなみに、ファイアーボールヘッドの中の人は……」


「アーアーアーアー! それは言わなくていいから! 中の人などいないのだ! 私はそう結論付けたので、そういうことにしておいてほしい!」


「えー?」


「もうあの人はそういう概念と言うことにしておいたから!」


「……」


 ものすごく真顔でそんなこと言われても。


 なんだかこの先輩、思ったよりもめんどくさい着地したなって感じだ。

 

 まぁ、でも中の人などいないって考え方はとても馴染みがあるので、それでいいのなら尊重したい。


 ウオッンと咳払いして、設定を定義しなおした烽火先輩は改めて質問し直していた。


「これは……知識を共有してもらえるという事なのかね?」


「そういう事ですよ。悩みに応じてお役立ち情報を提供予定です」


「なんと!……それは素晴らしいな! 私もやってみたいが……いや、良くないな。

私が一枠とるのが問題だ。URLが載っているじゃないか! 密かに応援しよう……」


「いやー……正直怪しいんで、相談なんて来ないと思いますよ?」


 ただ、あまりにも残酷な事実を口にしたのは松林君である。


 え? そうなの?


 僕は驚き松林君を二度見してしまったんだけど、烽火先輩の表情はハッとなっていた。


「宣伝の問題か……そういう事なら力になれるかもしれない。……いや、私が後押ししよう! うん! それがいい!」


「「えぇ……?」」


「意外かな? いい考えじゃないか」


 それ以降ぶつぶつと呟いている烽火先輩は、なんだか目が血走っていた。


 妙な入れ込み方に原因に心当たりのある僕はいたたまれないので、僕は先輩の喜びそうなネタを提供してみることにした。


「ええっと、こっちのお店もファイアーボールヘッド氏プロデュースなんですよ?」


「なんだと! それを早く言わないか! 買おう!」


「らっしゃいやせー」


「うん。で? なにかおすすめはあるのかな?」


 今度は店員である松林君に話しかける。


 松林君もしばらく売店を回していただけあって、接客も手慣れていた。


「そうですねー。ポーションなんかのアイテムはもちろんおすすめっすけど、一番というと精霊ガチャですかね」


「精霊ガチャ……それは?」


「精霊ってモンスターを手に入れられるかもしれないガチャですね。だまされたと思って試してみてくださいよ!」


「ふむ……まぁ彼のおすすめだと言うのなら」


 こうして―――後日先輩は更に熱狂的にファイアーボールヘッドを応援するようになっていたのだが……僕は売店の客が増えたことだけを素直に喜んでおいた。


 ……そろそろ精霊ガチャ以外の目玉商品もなんかやんないと飽きられるなと店長として反省したけれども、みんな楽しそうで何よりだった。


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