第178話桃山氏行方不明になる
「サブカルチャー研究部の定例会議をしたい!と思うんだけど……」
そんな提案を聞いた僕は、連絡の取れない桃山君のことを知らされた。
「……連絡取れないんですか?」
「そうなの。携帯繋がらないから拠点の側にもいないみたいなんだよね」
「ああ。じゃあ僕が知らせに行ってきますよ」
浦島先輩とのそんなやり取りの後、僕はダンジョンに向かったわけだが、入ダン記録を確認すると桃山君はまだダンジョンの中にはいるらしい。
刀の件もあるし、丁度いいからくらいの軽い気持ちだったわけだが、僕はなんとなく嫌な予感がして攻略君に桃山君の現在位置を訊ねてみると攻略君は言った。
『95階だね』
「きゅうじゅうごかい!?」
思わず言葉がひらがなになってしまう驚きである。
階層にしては強力過ぎる大猿が跋扈する危険階層に一人でいるというのは場合によっては冗談ではすまない。
「……!」
僕はすぐに完全に装備を整えて、ゲートを繋げる。
一度行った場所ならダンジョンの中だろうと瞬時に移動できる空間魔法はこういう時に便利である。
作ったゲートを抜けて、95階にやってくると僕はまず違和感に顔をしかめた。
「……ん、なんか雰囲気が違う?」
具体的に言うと、ジャングルの見晴らしがよくなっている。
目に付くのはやたらと多い切り株だった。
そして―――。
ズン! と地面が振動して僕は警戒すると、視線の先で空を飛ぶヤシの木と大猿達を見た。
「猿が飛んでるぅ……」
何でそんなことになる?
ちょっと考えれば原因はすぐにわかったはずだが、僕の脳みそは理解をまず拒否した。
焦りのままに走り出し、ジャングルを進む。
おそらくはどこかの誰かの進路を妨害したことで斬られた森の木々の道は、攻略君に聞くまでもなく目的地に案内してくれた。
「……これは!」
そこで僕は壮絶な光景を目にして、息を飲んだ。
まず目に入るのは白目をむいた大猿の群れ。
そして今まさに死闘を終えたらしい知っているガスマスクに僕はツッコミ重視で話しかけた。
「……何やってんのぉ!?」
「あれ? ワタヌキ氏? なんでここにいるんでござる?」
「……メッセンジャーだよ、桃山氏。……調子はどう?」
「絶好調でござるな!」
「……だろうね」
ガスマスク赤パーカーは張りのある声で答えた。
そして彼の周囲に大猿の群れは、まだ動けるものが集まり桃山君に対して頭を垂れて跪いているようにも見えた。




