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12 モブ令嬢、休日を満喫する

お読みくださりありがとうございます!

 ウィルヘルム様と婚約してからやっとの休日を迎えました!


 うーん、幸せです。

 不快な視線も一切なく落ち着く家でゴロゴロとしてゆっくり出来るのは。


 ――コンコンコン。


「レイ、入るぞ」

「フリッツ兄さん」


 中に入ってきたのはフリッツ兄さんだった。


「これから出かけるけど、レイも来るか?」

「うーん、そうね」


 今週は疲れたしゆっくりとしてようと思うんだけど、フリッツ兄さんは油断ならない。


「揚げ菓子の店にもよるけどどうする?」

「……行く。好きな味を買ってもいいんですよね?」


 あの店の揚げ菓子は美味しい。

 あまり食べすぎるわけにはいかないけれど、ついつい食べ過ぎちゃうのよね。


「いいぞ、ただし小さいサイズだぞ。でかいのは買わないからな」

「分かってるよ」


 ほとんど着替える必要もないから、髪だけ軽く整えるとフリッツ兄さんと家を出た。


 馬車?

 そんなもの使わない、基本は歩き。


 大通りに出ると休みの日だけあって賑わっていて、うっかり油断すると人にぶつかりそうになるほどには。


「それでどこに?」

「最近できたってカフェ。さすがにオレ一人で行くのは恥ずかしいからな」


 そういって兄さんは笑うけど、きっと嘘だ。

 だってあそこは私が気になっていた場所だから。


「ありがとう、フリッツ兄さん」

「なんのことだ?」

「なんのことでだろう」


 とぼける兄さんに合わせて私も誤魔化す。

 ただ、ケーキは2個までだと割と本気で言われたけれど。


「学校はどうだ?婚約のこともあるだろうし環境は間違いなく変わってるよな」


 カフェでケーキを頬張った私にフリッツ兄さんが尋ねてくる。


「周囲の視線は変わったと思うけど、ミディは何も変わらずにいてくれるし、すごく辛いってわけでもないよ」

「そう、か。それならいい」


 そう言って、フリッツ兄さんは紅茶を飲んで渋い顔をすると砂糖をカップに追加した。

 わりと甘党な兄さんには砂糖一個じゃ足りなかったみたいだ。


「でも、何かあったらすぐに頼れよ。なんとかさせるから、リードに」

「兄さんがやるんじゃないだ」

「当たり前だ。俺にそんな力はない」


 他力本願を堂々と言ってのけるフリッツ兄さんに、笑いがこみ上げて来る。


「俺にできることはせいぜいお願いベースで頭下げることくらいだしな」


 お願いベースと言うところに引っかかりはあるけど、何かあった時はフリッツ兄さんを正直に頼ろうとそう思った。


 フリッツ兄さんは意外と顔が広いから。

庶民とほぼ変わらない暮らしなので、護衛はつきません。



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