第40話 良い名前だろ?暴君ガラクタ丸って
「まだ納得できない部分はあるけど…」
「見せてくれて感謝するわ」
「おう」
ガラクタ丸の外で会話する。
「見せてくれた礼に今度はワタシの生産所に案内するわ」
「え?職場…?」
「ワタシも蒸気機関系の仕事してるのよ」
「…あ、ああ…そうなのか」
てっきり子供かと思ってた…
「…まぁ、そのなんだ」
「悪いが、そいつはまたにしてくれ」
「なんで?興味ないの?」
「いや、先を急いでいるんだ」
「見てえのは山々なんだけどな」
「あら、そう。ならこれ渡しとくわ」
そう言い、眼鏡少女は名刺を渡してきた。
「…王立蒸気車製作所?」
「ワタシの名前を出せば、入れて貰えるわ」
「見に来る時は、それを見せることね」
「ありがてえ。暇が出来たら絶対見に行くぜ」
「楽しみにしてるわ。それじゃ」
眼鏡少女は立ち去って行った。
「ねぇベルゼ?」
「んぁ?」
「あの人じゃダメかな?運転手」
「…ダメだな」
「どうして?蒸気機関の事詳しかったじゃない」
「…これ見てみ」
名刺を見せる。
王立蒸気車製作所
設計部門部長
エリーネ
「王立?」
「王立って付くもんはな、王国直属の施設ってことだ」
「!?…ってことは…」
「あいつ、王国側の人間だぞ」
「下手すりゃ、騎士団とも繋がってるかもな」
「…」
「それに」
「??」
「そうじゃなくても、あいつはなしだ」
「え、どうして?」
「あいつは確かに蒸気機関や機械に詳しい」
「俺が言う事も理解できてやがる」
「だが、それだけだ」
「??どういうこと?」
「ここにも書いてるが、あいつは設計士だ」
「現場目線が足りてねえな、ありゃ」
腕を組みながら答えるベルゼ。
「でも、機械の事すごく詳しかったよ?」
「ちゃんと勉強してきた人じゃないの?」
イリアが問いかける。
「ああ。それは分かる」
「だが、現場にはほとんど出てねえんだろうな」
頭をポリポリ掻く。
「現場に出てない?なんで分かるの?」
「あいつを見てると、俺の説明に引っかかってる感じがするんだよな」
「引っかかってる?」
「内容は理解してる。だが、実際にそうなるってのが納得いってねえんだろうな多分」
「その証拠に、理論だの理屈ばっか言ってやがる」
「そういうやつは大抵、机の上でしか仕事してねえタイプだな」
「そんな奴にガラクタ丸は任せられねえ」
「ただでさえ、癖があるしな、こいつは」
親指をクイっと差す。
「そっか…変な子だったけど、機械が本当に好きな子だったから」
「丁度良いかなって思ったんだけどな」
「…お前、あいつと四六時中同じ空間に入れるか?」
「…」
「…」
「…無理かも…」
「まぁ、お前はそうだろうな」
「ただ、あいつが仕事してるとこは気になる」
「仲間が見つかったら、見に行ってやるか」
「…でも、騎士もいるかもしれないんでしょ?」
「ここまで来てんだ。今更バレねえよ。たぶんな」
「たぶん…か…」
「ま、とりあえず仲間探さねえとな」
「うん。どこに行けばいいかな?」
「そうだなぁ…とりあえず、蒸気車の整備屋でも見てみるか」
「あいつほどじゃなくても、こいつには興味持つヤツはいるだろ」
「ガラクタ丸ってそんなにすごい乗り物だったんだ…」
「俺にとっちゃ、ただの相棒だけどな」
「…でも、名前がガラクタ丸…」
「なんだよ良い名前だろ?暴君ガラクタ丸って」
「…あんた本気で言ってるの?」
「??」
「あ、本気なのね…」




