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水沢江利の怪事件簿  作者: 袖利
中学校二年生編
85/87

File10 地球滅亡の日#7

 俺達3人と1機はがちゃがちゃ音を鳴らしながら大洗海岸を目指して歩いていた。そんなに距離はないとはいえ、この大荷物の中歩くのはキツイものがある。

「なぁ、御書。WEUの科学力なら瞬間移動くらいできるんじゃねぇか?いい加減この大荷物キツイんだけど」

「出来るぞ。二択ある。一つは、時空をちょいと弄って平行世界(パラレルワールド)に移動してそこで目的地の座標まで歩く。そしたらまたこっちに戻ってくる。平行世界とこの世界の時間の流れとは違うから、上手く行きゃあこっちの人間からしたらそいつが瞬間移動したように見える。最悪変なとこに出て怪物に襲われたり、戻ってこれても13年後だったりするけどな」

「思ってたのと違う……。しかも命懸けだし」

「2つ目、人間を分子レベルまで分解して超高速移動させて目的地で再構成する。こっちのほうが現実味がある、自分とDNAが完全一致している全くの別のナニカになっている点を除けば。

 勿論倫理的にアウトだからWEUでは禁止な。まだ丸腰の人間をマッハ20で吹っ飛ばして目的地に着く頃にはバラバラになってるほうが人道的だと思うね」

「「結局死ぬじゃん!」」

「作戦名なんだけどさ、」

 大洗海岸に辿り着き、折りたたみ机の上にパソコンをセッティングしながら御書(オリジナル)は口を開いた。弐号は俺と荒崎が持っていたランタンを砂浜に並べている。

「コムローイ作戦とかどう?」

「どうと言われても。どういう作戦か分からないし」

「叶都。肝心なことを忘れている。作戦を教えていない」

「お、そうだったな」

 説明もなしに地球を救わされる羽目になるかと思った。

「このひし形のランタン20個を地球の上空を囲むように飛ばす。そこにお前のエネルギーを流し込んで、問題の太陽フレアのタイミングで磁場バリアを形成する。特撮みたいでカッコイイだろ!」

「簡単に言ってけどな、太陽のエネルギーから地球を守るバリアって今の文明レベルで無理に決まってんだろ」

 荒崎がぶっきらぼうに言う。

「表社会とWEUの科学力は別物と考えるべき。表社会の科学力はレベル0.7だが、WEUはタイプⅠに間もなく達する予定だ。

世界の発電所にはバリアを構成できるような電力はない。しかし、負のエネルギーであれは不可能を可能にすることが出来る」

 弐号が淡々と説明する。

「そのエネルギーは俺が出さないといけないのか?」

「そ。」

「俺も結構危ない家系なんだけど」

「大丈夫大丈夫。邪神の1匹くらい問題ないさ。人類はまだその域に到達していないからな!避雷針的な対策もしているし」

 楽観的過ぎる気がするが。弐号は黙々と作業を進め、俺の前に理科の実験の時に使うリード線を持ってきた。人間用に大きくしたらしい。

「それを持っててくれ」

 御書(オリジナル)はもう片方のリード線をバッテリーのようなものに取り付けていく。

「あ、あと弐号、NSIデータの収集」

 御書(オリジナル)が指示すると弐号が黄色いリボンが左右に付いたカチューシャを俺の頭にはめた。

「わっ!なんだよこれ!」

 突然のことに驚いて、カチューシャを取ろうと試みるが、何故かビクともしない。

「無理やり取らない方がいいぞ。NS……、脳波を記録してるからな、異常を来さないと限らない」

「脳波?!」

「負のエネルギーの抽出は繊細なんだ。お前の感情も糧にするからリアルタイムで観測していないと予想外のことが起こるかもしれない」

 その説明で納得はできる。できるが……

「なんで江利と同じコスプレカチューシャなんだよ」

「いいじゃねぇか。似合ってるぜ。バカップルみてぇだ」

 荒崎は小馬鹿にしたようにニヤニヤ笑い、写真まで撮ろうとしてきたので、無理やり奪ってやった。

「こっそり部長の負のエネルギーを解析しようと思ってな。態々部長の趣味調べて、原作読み込んで、コスプレショップを回って、作ったんだぞ。あのラノベの宇宙人の思考はなかなかに面白いな。

 これで弐号がオタク仲間として交流を深め、友好の証にコスプレの小道具を渡す。部長はまさかの同胞の登場に感涙にむせび泣き、献上品を快く受け取るって寸法だ。どうだ!寸分の狂いもない作戦だろう!完璧だ!」

 なるほど俺はそれの実験台ということか。

「叶都。そろそろ時間。」

「お!そうだったな。じゃ、世界を救うとするか。」

予告より遅くなりましたm(_ _)m

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