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初めての仕事4

まともじゃない、というのが率直な感想だった。

元々、普通ではない性癖の持ち主だが、今は別の意味で普通ではない。

逃亡生活は、そこまで人を追い詰めてしまうのだろうか?

もし、僕とレイが二人で逃げ続ける選択をしていたなら、アレも一つの可能性なのかもしれない。



「さぁて、美味しくいただくとするかぁ。」



そう言って、男は階段へと向けて歩き出した。

どうやら、狙いの僕の所へ来るつもりらしい。


まともな判断が出来ない今なら、罠にかけるのも容易いだろう。

僕は部屋に戻り、先ほどと同じ態勢でベッドに横になった。

このまま待っていれば、男は確実にこの部屋に来るはずだ。



床を荒々しく歩く音、その音は徐々に近づいてくる。



「ここかぁ!」



勢いよく扉が開かれる。

男の目は血走り、口からは唾液が垂れていた。



”バブルボムⅢ!”



案の定、全く警戒していない男は簡単に魔法に捕らえられた。

手足にバブルボムを押し付け、壁へと貼り付けにした。

無理矢理動こうとすると、破裂した衝撃で手足は弾け飛ぶだろう。



「なんじゃこりゃぁぁぁ!」


「生野秀雄だな?」



生野は奇声を上げるだけで答えない。

写真と顔は一致しているため、間違いはないだろう。



”この男の首を持ってくるのがお前の初仕事だ”



銀華さんの言葉を思い出す。

つまり、殺した証拠が必要なわけだ。


殺す――そうだ、今から僕はこの男を殺す。

いざその時が来ると、恐怖が生まれてくる。

犯罪者とはいえ、ヒト一人の命を奪うのだ。

自分が生きるために……



「はなぜぇぇ!」



相変わらず、生野は暴れている。

それは、生に執着した者の姿そのもののようだ。

彼も、生きたいと必死にもがいているのだ。



”今更綺麗事か?”



頭の中に黒島の声が聞こえてくる。



”いい子ぶっても、お前はもう人殺しだろう?”



そうだ、だって僕は――

火内先生も、黒島も、この手で殺したじゃないか。

今更綺麗事を言ったって、僕の手はもう血で濡れているじゃないか。



僕は、ポケットにしまったアレを取り出した。

自分を変革するには、何かきっかけが必要だ。



「それは、てめぇ!」



生野はソレを見て絶句する。

きっと、何か知っているのだろう。

でも、今の僕には関係ない。



「後ろの撃鉄を指で引き起こして――後は狙いをつけて引き金を引く。」


「お前紅桜の――」



花火のような音を立てて、金属の塊が撃ち出される。

それは真っすぐと生野へと飛んでいき、左胸へと吸い込まれていった。


――瞬間、それは炸裂した。


そう、これは魔法だ。

生野の体内で、魔法が発動したのだ。

ウィンドカッターⅢの風の刃が、内部から切り刻む。

内臓を引き裂き、胴を切り開き、血管を細切れにする。

仮に魔法障壁を展開しようとも、生き物である限り内部からの攻撃は防げない。

きっと、これはそういう武器なのだ。


何故か僕は、妙な高揚感に包まれていた。

それは今まで、経験した事のない感覚だった。



「コレ、すごいじゃないか。」



この武器の扱い方を、詳しく銀華さんから教えてもらう必要がありそうだ。

僕は武器をしまい、生野の死体に近づく。



「うん、首が必要なんだよね。」



”ウィンドカッターⅠ”



思いついたように、僕は風の刃を男の死体に向けて放った。

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