初めての仕事2
お金はあるんだ、どこかお店に入って……
「君、大丈夫かい?」
見知らぬ男性に声をかけられる。
見た目は20代後半といったところだろうか。
やや筋肉質の身体に、スラム暮らしには見えない小綺麗な服装だ。
「だ、大丈夫です。」
過度な接触は避けた方がいいだろう。
そう思い男から離れようとするが、足元がおぼつかずに倒れそうになる。
「危ない!」
地面に接触する前に、男に抱きかかえられてしまう。
「こりゃ熱中症だな。」
そう言うと男は、僕を抱きかかえたまま歩き出す。
抵抗しようと試みるが、身体に力が入らない。
「俺の家はすぐそこだ、水くらいご馳走してやる。」
男は厚意を受けるのが正しいのだろうが、何故か妙な胸騒ぎがしていた。
―――
――
―
「すみません、助かりました。」
男の家で休ませてもらったおかげで、多少は動けるようになった。
どうやら僕の思い過ごしだったか?
「気にするな、それよりこんな場所で何をしてたんだ?」
男は水の入ったグラスをテーブルに置くと、そう尋ねてきた。
僕はそのグラスを手に取り、一口水を飲む。
乾いた喉を潤す感覚が心地いい。
「人を、探しているんです。」
そう言って、男に写真を見せた。
その男は写真を見ると、驚いた顔をした。
「――なんでコイツを探しているんだ?」
「知ってるんですか?」
「あぁ、この辺に住んでる奴だからな。」
どうやら正解に近づいていたらしい。
怪我の功名とはこのことか。
「良かったら教えてもらえませんか!」
「いいとも、その前にもう少し休んでいきな。」
時計を見やると、まだ13時を回ったくらいだ。
これなら時間も問題なさそうだ。
そう考えながら、先ほどの水を一気に飲み干した。
――あれ?
視界がぼやける。
まずい、これは……
「そうだ、ゆ~っくり休んでおきな、そしたらソイツに会えるぜ。」
やはり嫌な予感は的中していたようだ。
意識が朦朧とする中、なんとか意識を保とうとする。
しかし、その抵抗も空しく、意識は微睡みの中に沈んでいった。




