喪失の先2
「おかえりなさい!」
自室に入ると、元気な声が出迎えてくれた。
綺麗なブロンドの髪は、丁寧にリボンでポニーテールに結われている。
清潔感のある白のワンピースは、このスラム街とはかけ離れたイメージを与える。
「ただいま、レイ。」
脱いだローブをレイに手渡し、椅子に腰かける。
机の上には、銃のパーツが散乱している。
こいつの組み上げも、早く終わらせたいとこだな。
「新しい弾、机の引き出しに入れておいたよ。」
「いつも悪いな。」
レイにはいつも助けられている。
昔のように前線で戦わなくなった分、こちらとしては気が楽ではあるが。
そう、死んだと思っていたレイは生きていたのだ。
しかし、その代償は大きなものであった。
”魔源欠乏症”
体内の魔源が、長時間不足している状態が続くと起きる病気だ。
結果、脳への負荷がかかり、彼女はあの事件以前の記憶を失った。
それが奇跡の代償。
しかし、あんな過去ならば、忘れてしまってもいいのではないか?
実際、今の彼女は生き生きしている。
女性としても真っすぐに成長していると思う。
「どうしたの?」
「いや、我が妹ながら可愛いなと。」
「もう!」
じっと見ていたのに気づかれたので、適当にはぐらかす。
レイは顔を赤らめながらも、可愛く頬を膨らませた。
そう、確かに俺はあの日全てを失った。
その代わり、新しい居場所を手に入れた。
そう、この”紅桜”という新たな居場所を……
~魔銃~
対時空龍用兵器。
”殺す”事に特化した特殊な改造が施されている。
使用者の魔源を銃弾に乗せる事で、任意に魔法を発動する事が可能になっている。
つまり、相手の”内部”から魔法を発動させる事も可能である。
銃弾にも、魔法障壁を貫通させる特殊な加工がされてある。
まさに、時空龍殺しのための武器と言っていい。
魔銃の使い手は、このヴィランでは銀華とその部下達のみだけである。
これは、魔銃の製造過程を知っているのが、ヴィランで唯一銀華のみという理由からである。




