魔銃使い1
魔道都市ヴェネティアの某所。
時空龍達にも秘匿されたこの場所に、3人は集まっていた。
「今こそ時空龍の支配から脱する時なのです!」
テレビには黒島市長の演説が流されている。
その映像を見て、初老の男が頭を抱えている。
中年の女性は、テレビに興味は無いようで、自らのネイルの具合を確認している。
中年の男性は、ニヤニヤと笑みを浮かべながら、初老の男に尋ねる。
「さてカスパ、この状況をどうする? あの学園はお前がスポンサーとして管理していたはずだぞ?」
「言われずとも分かっている、バルト。」
バルトと呼ばれた男は、まるでこの状況を望んでいたかのような態度であった。
それがまた、カスパの悩みを加速させる。
黒島が怪しいのは分かっていた。
しかし、それを分かっていながら、この現状を止める事が出来なかった。
それは、黒島のバックに時空龍達がいたからだ。
3賢者と呼ばれるこの3人でさえ、時空龍に刃向かう事は出来ない。
力でも、知識でも、彼らには到底及ばないのだ。
事実上、時空龍に人類は支配されていると言っていい。
「メル、お前は何か意見はないのか?」
「さてね、自分達の汚点なら、勝手に処理するんじゃぁない?」
メルは話自体に興味が無いようで、眼鏡を外すと椅子に寄りかかった。
どうやら、自分以外危機感が全く足りないようだ。
しかし、一番の疑問がある。
何故、時空龍子飼いのあの男が、わざわざ時空龍に刃向かうような行動に出たのだろうか?
これではまるで――
「奴らも平和に飽きてるんだよ、カスパ。」
「そんな事……」
「しかしだ、これで互いにいい口実が出来ただろ?」
嬉しそうにバルトが語る。
そうか、この男も求めているのだな……
「戦争のか?」
「当然! 黒島は時空龍達が処理するとして、我々は戦争の準備を始めるべきだ。」
「よくも言ったものだ。」
ともあれ、今回の事件の事後処理も必要だ。
もし、本気で時空龍達と戦争するというなら――
「では、今宵は解散とする。」
「事後処理は頼んだぞ――カスパ・ラグナール」
「あぁ、眠い……」
号令と共に、カスパを残して2人の賢者がその場を後にする。
「レイ、無事でいるのじゃぞ。」
カスパは、送り出した少女の顔を思い浮かべた。




