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決戦の時4

”バブルボムⅢ!”



無数の泡を弾幕のように拡散させる。

黒島は避ける事もせずに棒立ちしている。

泡の爆発で鎧を削っていく。



「ふん。」



ありえない事が起きる。

一瞬で、さっきまでのダメージが回復したのだ。



「馬鹿な……」



レイも驚愕している。

こんな事があってたまるか!

しかし、現実には完治した黒島がそこにいた。



「一体、あれはどうなってるんだ。」


「もう終わりか?」



黒島は何事もなかったかのようにそこに立っている。


強力な再生能力?

それとも効果の高い治癒魔法?


いや、違う。

あれはまるで時間が戻ったかのような感じだった。


ありえない。

時を操る魔法など聞いたことがない。

時空龍ですらそんな魔法は扱わない。



”サンダーボルトⅢ!”



雷撃を黒島に浴びせる。

そんなわけがない、攻撃し続ければ奴も消耗するはずだ!



「葉助! 無駄に魔源(マナ)を消費しすぎだ! あれは――」



”ファイヤーウォールⅢ!”

”ウィンドカッターⅢ!”



同時詠唱で奴の心臓辺りを集中攻撃する。



「んぐっ……!」



貫通した攻撃は奴の胸に大穴を空けた。



「やった!」



あれだけの再生力の化け物でも、魔源(マナ)を生み出す器官ごと破壊すれば!



「無駄だ。」


「そ、そんな!」



しかし、奴は何事もなかったようにそこにまた立っていた。

胸の傷も完治している。



「はぁ、はぁ……」


魔法の連続使用で魔源(マナ)を多く消費してしまった。

しかし、奴はまったくの無傷の状態だ。



「葉助、奴の弱点はおそらく別にある。」



レイは冷静にそう言った。


弱点?

頭を潰しても、心臓を吹き飛ばしても死なない相手に弱点があるっていうのか。



「おそらく奴は抜け殻だ。 あの抜け殻を動かしている何かがあるはずだ。」


「そんな事言われても!」



この円形の空間には何もない。

辺りを見回しても、数本の柱が(そび)え立っているだけだ。

いや、この柱の配置に何か意味が?


――なら、試してみるか。



”ウィンドカッターⅢ!”



柱にめがけて真空の刃を飛ばす。



「――!」



黒島はその攻撃を自ら盾となって防いだ。



「レイ、どうやら当たりのようだ。」



あの柱を全て壊せば、もしかしたら!

微かな勝機が見えてきた。


問題は自分の残りの魔源(マナ)だ。


そっと、レイが僕の手を握った。



「レイ?」


「私の魔源(マナ)も使え。」



手の平が熱を帯びていく。

魔源(マナ)が流れてくる感覚。

本来ならば、同じ属性の魔源(マナ)を扱う者同士でしか不可能だ。

しかし、全属性のエーテル器官を持つ僕ならば、誰からでも魔源(マナ)を譲り受ける事が出来る。



「うん、一緒にいこう。」



”ウィンドカッターⅢ!”



二人同時に詠唱する。

その真空の刃はいつもの数倍の速度と大きさで飛んでいく。



「グゥゥ!」



その刃は黒島の腕を貫通して柱を1本破壊した。



”サンダーボルトⅢ!”



今度は雷が柱を砕く。



”ファイヤーウォールⅢ!”

”バブルボムⅢ!”



詠唱の早さ、威力、いずれにも黒島は対応できない。

自分でさえ何が起きているのかわからない。

でもレイの暖かさだけは伝わってくる。



「一体コレハ!」



残る柱は1本!



「レイ。」


「あぁ、分かってる。」



この一撃で終わらせる!



「サセルカァァ!」



焦った黒島がこちらに向かって走ってくる。

しかし、今更僕達を止める事はできない。



僕とレイの体から光が発せられる。

2つの属性の魔源(マナ)を収束させる。

理論上は可能だが、誰も実践しなかった魔法が今紡がれているのだ。



”ユニオンエクストリーム!”



僕とレイの詠唱が重なった。



「こ、こんなものは! コンナ!」



暖かな光が広がっていく。

あぁ、僕は、この光を――


光で視界が埋まっていく。

何が起こっているのか、もう分からない。



「葉助。」



声が聞こえる。

レイ……?



「約束。」



あぁ、そうだった。

君を守るって――



「違う。」



違う?



「もう一つの方。」



”必ず、帰ってきて”


あぁ、そうだった。

でも体が動かないんだ。



”必ず、帰ってきて”



きっと魔源(マナ)の使いすぎだ。

体が鉛のように重い。



「大丈夫だから。」



僕は――



「だから――帰ってきて!」

~複合魔法~

2属性の魔源(マナ)を掛け合わせて放つ事で可能になる特殊な魔法。

理論上は可能という結論が出ているが、体内の魔源(マナ)をそこまでコントロール出来る者がおらず、使用する者はいない。

当然、時空龍達は扱う事が出来る。

複合魔法には、光と闇の2属性が存在している

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