決戦の時3
暗闇の中を二人で歩いていく。
無限に続くのではないかと錯覚するほどの深淵。
気を抜けば全て飲み込まれてしまいそうだ。
この闇はいつ終わるのだろう?
レイの足音と息遣いだけはしっかりと聞こえてくる。
「葉助……」
不安そうなレイの声が聞こえる。
「大丈夫、きっともうすぐだよ。」
そうは言うものの、先は一向に見えない。
どこを見ても、闇、闇、闇。
闇は不安を掻き立てる。
まさかこれも黒島の術の一つなのだろうか?
相手の攻撃はもう始まっている…?
そもそも、この校舎自体が奴のテリトリーなんだ。
先ほどの校長室の事を考えてもありえない事ではない。
こちらの行動を先読みされていても不思議ではないのだ。
――違う!
そう、この暗闇の正体は僕の弱い心だ。
僕が奴との対決を恐れているからだ。
もしかしたら負けるかもしれない。
レイを守りきれるか自信がない。
その気持ちが――
徐々に暗闇が晴れていく。
そして、目の前に一筋の光が見えてくる。
そうだ、僕は!
守るって決めたから。
だから!
さらに光が強くなる。
「来たのか……」
開けた空間に出た。
中央には黒い鎧のような物に覆われた大男が立っている。
その声が辛うじて黒島のものだと分かる。
「お前は……?」
これが本来の彼の姿なのか?
それとも何かあるのだろうか?
「ここまで来るのは意外だった。」
表情も声音も分からない。
感情も何も感じられない。
人間らしさが欠落していて気持ち悪い。
本当にこの男があの黒島なのだろうか?
あれほど帰還を望み、世界を欲した男なのか?
「境界移動はさせない!」
考えても仕方ない、奴を倒さなければ終わらないのだ。
「向かってくるか、愚かな。」
急に空気が重くなる。
まるで全身を押し付けられているかのような錯覚を感じる。
脳ではありえないと否定しているが、身体が思うように動かない。
レイも同様のようだ。
「所詮、その程度というか事か。」
「――で」
「ん?」
「こんなところで……!」
立ち止まっていられない!
”ウィンドカッターⅢ!”
真空の刃を黒島に向けて放った。
「む……?」
刃は黒島の鎧ごと腕を引き裂いた。
「はぁ、はぁ……」
体を覆う圧力が消える。
これでなんとか動ける。
「ほぅ……」
驚いたような口振りだが、驚きという感情は感じられない。
「黒島、お前の好きにはさせない!」




