変貌した学び舎2
校内は静寂に包まれている。
見張りや警備がいるかと思ったが、無人である。
少々拍子抜けしつつもレイの捜索を始める
1階の教室を順番に探していく。
教室は特に変わった様子も無く、普段と同じ状態だ。
目の前にある机には擦れて消えかけている落書きがある。
少し前まで普通の日常が流れていた証だ。
それが今は、こんなにも寂しく感じる。
――
―
1階の教室全てをくまなく探したが、特に変わったものを発見することも、レイを見つける事もできなかった。
階段を登り2階に向かう。
コツン…コツン…
足音が響く。
コツンコツン…
――ん?
コツンコツン…コツンコツン…
二重に足音が聞こえてくる。
誰かついてきている……?
階段の踊り場で振り返る。
――そこには階段を登ってきている兄さんの姿が見える。
安堵して声をかけようと――
「葉助! 逃げろ!」
えっ?
急に健司の叫び声が聞こえる。
とっさの指示に思考が停止する。
「っ!」
その声を聞いた兄さんが階段を駆け上がってくる。
「あっ……」
――それは偶然だった。
兄さんの行動に反応した体が、階段で足を踏み外したのだ。
踊り場にしりもちをついてしまう。
早く逃げなければ。
健司の言葉が正しければ敵は近くにいるはずだ。
近くに……
その時、頭上を何かが掠めたのだ。
ガシャーン!
――背後にあった踊り場の鏡が砕ける。
放たれた魔法は、壁に仕込まれている魔法中和装置によって消滅した。
校内での魔法使用の危険性を考慮して備えられている仕掛けだ。
今の魔法は間違いなく”ウィンドカッター”だった。
そしてそれを放ったのは……
「兄さん……?」
そう、目の前にいる兄さんだった。
どうして? 何故?
疑問が思考を埋め尽くしていく。
――だめだ、今は考えるな。
「……」
”フレイムタワーⅢ”
「っ!」
慌てて立ち上がって階段を駆け上がる。
ついさっきまで座り込んでいた床から炎の柱が立ち昇る。
間違いない、兄さんは僕を狙っている。
「葉助! お前はそのまま行け!」
「健司、何言ってるんだ!」
「誠先輩は俺がなんとかする! いいから行け!」
健司――
「わかった!」
僕はそのまま振り向かずに階段を駆け上がった。




