EXTRA
―セレニティア・セイントガルド謁見の間―
謁見の間に、一人の青年と跪く3人の男達がいた。
「面を上げてください、お願いするのはこちらの方です。」
そう青年が言うと、3人の男達は顔を上げた。
一人は短髪のブロンドの髪、色黒の肌、鍛えられた肉体と戦いでの傷があちこちに見られる。
まさに戦士という感じの偉丈夫だ。
もう一人は、黒髪短髪、同じように色黒の肌に鍛えられた身体。
やや軽薄な雰囲気だが、こちらも歴戦の戦士なのだろう。
最後の一人は、2人に比べてやや細身の体に、長い銀の髪が目を引く。
聞いた話では学者としての仕事が本職だが、剣の腕はロキアでも指折りらしい。
この3人は、ロキア国王がお送りになられた精鋭の戦士達だった。
「端的に話すと、貴方達には人質となっている私の母を救ってもらいたい。」
「我々が呼ばれるという事は、並の魔物ではないと?」
「はい、自らを四魔将・アグスと名乗っています。」
四魔将は歴史の教科書にも出てくる程の名前である。
彼らは竜帝ティアマトの腹心として、暗黒時代に暴れまわったと記載されている。
本物なのかどうかは分からないが、万が一を考えロキア国王へと救援を依頼したのだ。
「伝説の魔物か、俺らの相手には十分じゃねぇか。 なぁゼロス?」
「調子に乗るなカイル、本物かどうかは分からないが強力な相手に間違いはなさそうだぞ。」
「2人共、領主の前だだ、口を慎め。」
銀髪の戦士が一喝すると、2人の戦士は口を閉じる。
「ゼロス、カイル、エリクの三名にお願いします、私と共に母を救うために戦って下さい。」
「領主自ら戦いに赴くと?」
エリクと呼ばれた銀髪の男が不思議そうに問う。
「当然、元は私一人で戦うつもりでしたので。」
そう言って青年は腰に差した剣に触れる。
青年もまた、戦士なのだ。
母親似の整った顔立ちは女性のようにも見える。
父親と同じ黒髪で、その長さは腰まで伸びている。
青年は、懐に閉まってあるもう一つの得物を取り出す。
それは”魔銃・フェンリル”であった。
”父さん、母さんを助けるために力を貸して下さい”
フェンリルをしっかりと握り、青年は前を見据えた。
「さあ、行きましょう!」
魔銃は受け継がれ、父と同じように子もまた戦いへと赴く。
この戦いの歴史に、終わりが来る事があるのだろうか……
―Continue to the Borderline―




