境界移動(ラインズワープ)3
「葉助、境界線の知識はどこまである?」
「境界線が、各世界を繋いでいるレールみたいなものってくらいかな。」
「まぁ、大体は合っているな。」
いつの間にか眠ってしまったレイの肩を抱き、銀華さんとの会話を続ける。
「私達が与えた知識では、全ての世界は横並びになっていると教えている。
イメージとしては――世界は駅と見立てて、私達は電車と言った所か。」
「なるほど…… でも、それはおかしくないか?」
そうだ、だって世界は無数に散らばっているじゃないか。
とても横並びに繋がっているとは思えない。
「そうさ、この境界線は繋がっているのは間違いない。
だがそれは横並びではない。」
そう言って銀華さんは目の前を指さした。
そこにはあらゆる方向から境界線が収束している場所がある。
「あれがこの境界の中心、ヴァルハラだ。」
「境界の中心?」
「そう、全ての世界はあのヴァルハラを中心とした三次元的スター構造になっているのさ。」
そして私の生まれ故郷さ、そう呟いた。
「私達時空龍は、各世界の安定のためにあのヴァルハラから送り込まれる。
私も同じく、あそこで生まれ育った。」
「ならば、何故時空龍達はそれを隠している?」
「簡単な話だ、このヴァルハラは既に無人だからだ。」
無人だと? ここは時空龍達の故郷ではないのか?
「不思議だと言いたそうだな? 王が亡くなったのならば必然だろう?」
「跡継ぎは?」
「一族諸共さ。そして生き残りは各世界に散り、一部の者は宗月に付き従ったわけだ。」
時空龍達にそんな背景があったとは知らなかった。
その強大な力を誇示するため、あえて隠していたというわけか。
「向きを変えるからしっかり掴まりな。」
そう言うと銀華さんは90度向きを変えると、上側へと羽ばたいた。
俺はレイをしっかり支えながら掴まる。
「くっ……」
「境界線の外側――宇宙に放り出されたら私達でも死ぬから必死に掴まりな。」
「そういうのはもっと早く言ってくれ!」
俺は更に指に力を入れた。




