第四十一話「落ち零れ」
「皇帝陛下。いや、お父様! なぜ私を見捨てたのですか!!」
「貴様が弱いからだ」
「な!?」
お父様! あれだけお慕えしたのに……。
「それより、何か無いのかね? 敵の情報は」
「超能力が本当にあったということです」
「貴様も戯言を吐くか」
「見てわかりませんか? なぜ反乱軍がここまで巻き返したのか」
「ただの奇跡じゃろう。我がエルダン国が総勢力を集めて攻めればすぐ潰れる」
「ではやってみせてください」
「気に食わん。こやつを連れてけ」
お父様とまともに話をしようと思ったのが馬鹿だった。
そういえばお父様はそういうお方だったな。
気に食わなければ息子だろうと容赦しない。
仕方がないだろう。
もういい。
私もレリウスと同じ落ち零れだ。
「皇帝陛下は正気か! レリウスに次いでアルシア様まで!!」
「5、落ち着け」
「落ち着いてられるか! 我々が仕えてるのは皇帝陛下だけではないはず!」
「気持ちは分かる。だが、皇帝陛下のことだ。何か少しでも機嫌を悪くすることがあれば」
「分かっている!」
折角アルシア様をお連れしたというのに。
もう少し皇帝陛下には寛容になってもらいたい。




