第四十話 プレゼント交換
※十話に一度地の分ありの回はまた後日。
どこの町にもありそうな、特筆するような特徴もない平凡な住宅街で輝いているのは電飾で装飾されたカラフルな一軒家。
親は仕事で家を空けているので、残された子供達はテレビから流れるクリスマス特集を何となしに眺めながらこたつで丸まっていた。
「それでは始まります……クリスマス恒例! プレゼント交換コーナぁー!」
『おおお!』
「……プレ交換ってイヴにやんの?」
「皆の衆っプレゼントは用意したかなっ!? 由梨愛お姉ちゃんは愛を込めてハンドゥメイディングだぞ☆」
「嫌な予感しかしない。えーと俺のプレゼントは……あったあった。用意したぞ」
『さぁ早く! 早くしようではないか!』
「それじゃ音楽流すから時計回りに回して、音楽が止まった時に受け取ったプレゼントが貴方のものだよ! いいね!?」
『了解した』
「せーので行くよ? ……せーのっ」
――あぁりのぉぉおおままのぉぉおおおおぉぉおお♪
「ですよね! 2014年の名曲ですもんね!」
「さぁ回して回して!」
『ぐるぐるぐるぐる……どぅるるるるるるる』
「「後半キチってる!」」
――すこーしも寒くないわ〜♪
「あっ、止まった……」
「きゃぁぁあああ! 私のグレン君の箱だ! 男子中学生のプレゼントを合法的に手に入れられるとか感無量、誠に有り難き幸せ! クリスマス万歳! hshshshshs」
「うげぇ、姉ちゃんの手作り当たった……死ぬわ」
『という事は俺のプレゼントは霧島(弟)のか……』
「このままテンションMAXに至りたい所だが、何分私退場まで残された時間は少ない。さぁ一気に開けるよ!」
「それで急いでたんだ」
「じゃあ霧之助から開けて! 早く! スピードアップ!」
「あーもうはいはい………………お? これは……」
「へへん、手作りプレの正体はマフラーでした!」
「まさかそんなベタな。姉ちゃんがそんな手間のかかる物を作るなんて……あ、よく見ると結構編み方荒――」
「あぁ?」
「イエナンデモゴザイマセン。オネーサマアリガトウゴザイマス」
「分かれば宜しい。さて、私も開けるとするか………っ!? こ、これは……!」
『マカロンクッションだ!』
「クリスマスだろうがブレない親友殿」
「うっわマジ可愛い〜! スイーツ家具とかヤバい! ありがとね!」
「でも女子に当たって良かったよな。男子にこれはキツい」
『……そろそろ俺も開けてよろしいだろうか?』
「あっ待たせてすまそ! おけおけ!」
――ゴーン、ゴーン……
「……お? もう六時か」
「やばっ! 早く出かけなきゃ遅刻する!」
「その格好で出かけんの!?」
「勿論上にコートは着るよ?」
「当たり前だ!」
「ってな訳でいってきまぁぁぁす!」
「いってらー……」
『…………』
「グレン、お前が話に入ってこないなんて珍し……どうした? 神妙な顔して」
『これ……』
「マカロンケーキクリスマススペシャル三段バージョン? それ初めからグレンの為に作ってたんだよな。姉ちゃんが乱入してくるというハプニングがあったが終わり良ければ全て良し、だな」
『霧島ッ……一生ついて行くぞ!』
「重い苦しい抱き着くな! いちいち大袈裟だよ、二年も一緒なのに今更離れる気なんざさらさらねーっての!」
【実は忘れ物を取りに戻ってきてた由梨愛お姉ちゃん】
「こっこれは……!? 何が起こったの!? 何で私がいなくなった途端抱き着いてるの!? 二人ってそういう関係……!? もしかして私は今日一日ずっと聖夜の二人の邪魔をしていたというのか……! とりま写メってルリト君に贈ろう」
※話し声は聞こえてないけどバッチリ目撃されてました。