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閃光のフロンティア2

 俺は『閃光』と対峙する。その小さな体躯からは想像もできないプレッシャーを感じる。


「じゃあ、行くよ。見失わないようにね」


 そういってアウラは俺の前から消えた。


「なっ!?」


 文字通り消えたのだ。瞬間移動? まさかそんなことができるのか?


「グハっ!」


 突然背後からナイフで切りつけられる。幸いアウラの小さいナイフでは俺の鎧を切り裂くことは出来ず、衝撃だけが俺の背中へと伝わる。


「マスターっ!」


 そういってアイリさんは身構える。


「大丈夫だ。だから手を出すな、これは彼に認めてもらうための戦いだ。手を出さないでくれ」


「あれ? 意外にその鎧頑丈だね、でも次で終わりかな」


 またそういって背後からアウラの気配は消える。というか瞬間移動だった場合どうしろって言うんだよ、その場に出てくるまで気づかないんだったらどうしようもないじゃないか。


「ふー」


 俺は気合を入れて周囲の気配を探る。その場に出てくるまで分からないのであれば、その場に出てきてから避ければいいだけのことだ。


 少しづつ神経が鋭くなってくる。気配、匂い、音、殺気そのすべてが少しづつ感じられるようになる。


「じゃあねバイバイ」


 また背後からナイフが振りかざされる。


「なっ!?」


 今度はアウラが驚く番のようだ。俺はその攻撃を体を横にずらすことで避け、アウラの大ぶりな攻撃が空を切る。


「ダブルっ!」


 俺はそのがら空きの腹にスキル叩き込む。相手が軽装で小柄ということもあり、アウラの体は吹っ飛んでいく。


 頭の中で変な効果音が流れる。


「これでどうだ!?」


 俺は手ごたえを感じ、奴が吹っ飛んだ方向を見る。


「いてて、さすがに大口叩くだけあってやるね」


 全くのノーダメージのようだ。まぁそうだよね、こんな初級なスキルで相手にダメージが入ると思ってなかったしな。


「お前のタネはもう分かったよ。初めは瞬間移動かと思ったけど、気配を探ってみて分かったよ。これは高速移動だ」


 瞬間移動なら出現するまで気配は察知できないはずだ。しかしアウラの気配は確かに存在し続けた。


「ふーん、多分君には見えなと思ったんだけどよく分かったね」


「ああ、見えなかったよ。でも感じることは出来た」


 速度は凄いものではがあるが、殺気や音、気配の消し方はまだまだお粗末だ。さっきの黒服たちの方がそこらへんの技術は全然上だった。


「そっか、じゃあもうちょっと速くしてもいいかな」


 そういってまたアウラは俺の前から姿を消す。


「もう、その攻撃は喰らわないっての!」


 俺は気配を探る。奴の気配はすぐ真後ろ!?


「うおっ!」


 それを俺は寸前で避ける。


「あれ? これも避けるんだ。じゃあもうちょっと速くしようか」


 そしてまたアウラは俺の目の前から消える。


 ちょっと待ってくれ、これ以上速くなったらどこからくると分かっていても、避けきれない。


「うぐっ」


 案の定、俺はアウラの攻撃を受けてしまう。


「ここが限界みたいだね、まぁ意外に頑張ったんじゃない?」


「そうかいありがとな、でもまだ安心するのはまだ早いと思うぜ」


「ふーんまだなんかあるの? じゃあ退屈しないで済みそうかな?」


「ああ、もうちょっと楽しんでもらうからな」


 またアウラは姿を消す。こいつがワンパターンの攻撃方法で良かった。これで色々多彩な攻撃方法で来られたら確実に無理ゲーだった。


「ドライブ」


 俺は小さく呟く、この『ドライブ』は基礎能力をほんの少しだけ向上させるスキルだ。アウラは今俺が避けきれていないことを見て油断している。アウラはまた同じスピードで来るはずだ。今の能力が少しでも上がれば避けることができるだろう。


 とは言ってもぎりぎりであることに変わりはない。気合を入れなければ。


「……そこかっ!」


 俺はさっきよりも鋭敏になった感覚と、向上した能力でアウラのナイフをはたき落す。


「ッ!?」


 どうやら戦闘経験は豊富ではないようだ。なので予想外なことが起こると判断が鈍る。


「いくぜっ!」


 これが最後のチャンスだ。絶対に逃すかっ!


腹部に拳を五発打ほどち込む、アウラのその小さな体がくの字に曲がる。


「カハっ!」


「まだまだぁ!」


顔面にけりを放ち、アウラの体を空中へ打ち上げる。そして俺は最後に先ほど手に入れた新しいスキルを発動させる。


「トリプルっ!」


 俺は拳の三連弾をアウラの顔面にぶち込む、顔面がめり込む感覚が拳に伝わる。


「これでどうだ!?」


 今できる最大の攻撃だ。これで気絶してくれなかったら、俺はもうどうしようもないな。


 土煙が巻き上がっていてよく見えない。倒れていてくれ、お願いだから!


「マスター! やりましたね」


「ナイス」


 二人が駆け寄ってくる。


「いや、多分まだダメだと思うんだよね」


 土煙が晴れる。その中から出てきたのは、怒りの形相のアウラだった。


「ですよねー」


「殺す。絶対に殺す。お前だけは許さない!」


 はぁさっきまでの余裕はなさそうだ。というかもう完全に力を見るとかいうレベルじゃないよね、完全に殺すとか言ってるしね。


「許さねぇ、絶対にお前は許さない。本気で殺す!」


 アウラの構えがどんどん低くなっていく。体全体を地面に近づけ、今まで逆手に持っていたナイフを順手に持ち変える。


「アウラっ! 落ち着きなさい。それだけは使ってはいけません」


「っ! 主は守る」


 二人がおれの前に立つ。たぶんアウラがこれから使うのはそれほどヤバいものなのだろう。しかし……。


「どいてくれ、言ったろこれは俺の力を見るための戦いだ。二人出てこられちゃだめなんだよ」


「しかしこれは危険です!」


「大丈夫だよ、俺もまだ本気は出してない」


「命があってのものです!」


「二度は言わない。これ以上邪魔をするなら俺も約束は守れない」


「くっ……分かりました。しかし覚えておいてください、アウラがマスターを殺したら私が彼を殺します」


「そうか、じゃあそんなことはさせないようにしないとな」


「はい、必ず勝ってください」


「勝たなきゃ許さない」


 二人が俺の前からどく、どうやら二人とも納得してくれたようだ。


「ふー、ふーっ」


 どうやらアウラは何か力を溜めているようだ。その姿にさっきまでのかわいらしさはない。


「来いよ」


 俺は技を出すべく構えをとる。


「うがああああ! 『閃光』っ!」


 アウラの姿が瞬き、一瞬の閃光となる。


「一の奥義『一加』」


 二人の技が放たれた。

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