外伝2:始まりの始まり
「おはよう、君の目覚めを待ってたよ」
「ん、ここ何処?」
薄暗い洞窟の二人の声が響く。
「ここは君と僕たちが生まれた場所さ」
一人の男と一人の少女、ここには二人以外何の存在も認められない。
「生まれた場所?」
「ああ、そうだ。君が初めて目覚めた場所さ」
「初めて?」
どうやら片方の少女は生まれたばかりのようで、言葉や視線が定まらない。
「ふむ、目覚めさせるのが遅過ぎたか。まぁいい時間はたっぷりある。なんせ二千年も待ったんだ。あと少しぐらいはまだ待てるさ」
疲れた表情の男は一人そんなことを呟く。
「ねぇ私は誰?」
生まれたままの姿の少女は疑問を口にする。
「それは一番難しい質問だ。ぼくでさえ君をなんていえばいいのか分からないんだ。でもそうだな……あえて君のことを名で呼ぶとするのならフロンティアかな?」
「フロンティア? どういうこと?」
「つまりはこの世界そのものってことかな? 僕には少し難しいな、彼ならいい言葉を思いついたのかもしれないけど」
「うーん、分かんない」
「そうだね、少し難しいかもしれないね」
優しい微笑みを浮かべる男、その男は若者のようでもあり、老人のようでもある。何ともつかみにいくい人物のようだ。
「じゃああなたは誰?」
「うーん、それも難しい質問なんだよね」
「難しいのばっかりだね」
「そうだね、世界は難しい事ばかりだ」
肩を竦めおどけた格好をする男。
「難しいの?」
あどけない表情を浮かべるその少女。その少女の外見は十代半ばといったところか、しかしその表情や仕草はほとんど生まれたての乳児のようだ。
「ああ、難しいんだ。でも今はお眠り。次に出会うときは世界が始まるときだ」
「始ま……り……?」
だんだんと微睡んでいく少女。
「ああ、新しい世界の始まりさ」




