表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

1/7

プロローグ

「今日で決着つけよう、魔王」

その言葉と同時に街の防壁が崩れ落ちる。

衝撃を体を貫く。視界が傾き、頬にコンクリートの感触が広がった。

「……っ!」

震える腕でなんとか体を起こしたが、指先には力が入らない。

視線の先には仲間たちが闇に呑み込まれていく。

あんなに楽しく笑っていたみんな。


ーーもう、いないんだ


「なんでっ……なんで、こんなっ……!」

気づいたら、コンクリートに転々と跡がついていた。

その時、空から声が降ってきた。

「怖いのか?」

魔王の声だ。

「我ら『B•G』に勝とうなんざ千年早いわっ!」

乾いた笑いが街中に響く。

怖い、逃げたい。

それでも、私は剣を握った。

その時だった。

『頑張れ、穂乃花!』

と後ろから声がした。

「え……?」

急に背筋が凍った。振り返っても誰もいない。

皆の声ではない。じゃあ、一体、誰……?

「死んだ仲間の声でも聴いたのか? 哀れだな」

(まだ、この戦いは終わってない……!)

私は剣を握り直す。

「負けるものですか」

フラフラの足で立ち上がった。

「お前もあいつみたいにしつこいな。

分かっているのか? 戦っても意味がないことに」

そんなこと、とうの昔に知ってるよ。

一人で戦っても勝てるわけがないこと。

でも、私はこの街を何としてでも死守する。

もういなくなってしまった皆の思いも背負って。

「どうしても、やらなくちゃいけないことだってあるのよっ!」

そう言って、剣を構えた。

「ハハハッ! 面白い、やれるものならやってみろ、魔法使いっ!!!!」

無数の攻撃が降り注ぐなか、私は最後の力を振り絞って駆け抜けた。


ドンッ!


衝撃。

視界が傾く。全身が鉛のように重い。

そして、焼けるように熱く、痛い。

魔王の笑い声が遠ざかっていく。

「まだ、行かせない……」

崩れ落ちる街を見て、涙を流しながら私は瞼を閉じてしまった。


どのくらい、時間が経った……?

魔王は? 街の皆は無事? 色んなことを確認したいのに体がちっとも言うことを聞いてくれない。

遠くからこっちに走ってくる足音が聞こえる。

「穂乃花しっかりして!」

目は敵の攻撃の負傷からなのか開けられない。

でも、ぼんやりとなら聞こえる。どこかで聞いたことのある懐かしい声。

あなたは、誰……?

「死んじゃダメだよっ……!」

少しだけ涙声になっている。

あ、そうだった。私負けちゃったんだ。

勝ちたかったなぁ……

あんな未来にしたくなかったのに……

「私絶対にーー……!」

最後になにか誓うような声がした。

足音が徐々に遠さかっていく。

ねえ、待って! 置いていかないでっ! ひとりにしないで!!

心の叫びは声になることはなく、私の意識は闇に包まれた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ