066、祭り前の盆踊り
筆者半分AI半分作成
茶屋の窓から外を見ると、中央広場ではやぐらの点検や屋台の準備に忙しそうな住民の姿があった。昼もだいぶ過ぎ、夕方にはまだ早い時間。街は穏やかな活気に包まれている。
ヒサメは茶屋の奥で、三食団子を二つ頼むと、ひとつをそっとスキアの前に差し出した。
「こちらをどうぞ。美味しいですよ」
スキアは軽く会釈して団子を受け取る。
「ありがとう」
ヒサメは残った団子を口に運び、やぐらの方を見ながら噛みしめた。その姿は、祭りの準備に目を光らせる真剣さと、ほんの少しの余裕を併せ持っている。
「あら、ヒサメ様。今年は祭りに参加するのかい?」
住民の声が茶屋の中に届く。
「いえ、今回も結界の管理がありますので」
ヒサメは柔らかく答える。
「そうなの。ヒサメ様の盆踊りも見てみたいんだがねえ」
「ありがとうございます。ですが、皆が安全に祭りを楽しめるようにするのが一番大事です」
住民は笑顔で頷く。「いつもありがとうね。おかげで安心してお祭りが出来るわ」
「どういたしまして」
「気が向いたら、いつか踊りに来てね」
ヒサメは手を振り、やぐらの方に視線を戻す。スキアはその様子をじっと見つめながら、疑問を口にした。
「その、ぼんおどり、というのは何だ?」
「スキアは盆踊りを知らないんですね。この国の年に一度のお祭りで踊る“舞”のようなものですわ」
「ふむふむ」
「お狐様、妖狐様を崇めるお祭りでして、毎年、妖狐様が楽しみにしているんです」
「ほう」
「この前も、ライが住民と飲み合いをして泥酔したのを介抱しました」
「そうなのか」
二人は茶屋の窓からやぐらの点検をしている住民たちを見ながら団子を食べた。
「ヒサメは、踊らないのか?」
スキアはふと、再び尋ねる。
「私はいいの。皆が平和に過ごすのが、一番大事だから」
ヒサメの目は柔らかく、優しい光を宿していた。スキアはその瞳をじっと見つめる。
団子を食べ終えた瞬間、スキアは突然立ち上がり、奇妙な踊りを始めた。
「スキア? 何してるの?」
「盆踊りってどうやるんだ? ヒサメ、教えてくれよ」
ヒサメは目を丸くしたが、すぐに微笑む。
「フフフ、じゃあ、丁寧に教えてあげるわね」
ヒサメの動きを見ながら、スキアは真似をする。手取り足取り、互いに呼応しながら踊りを覚えていく。
茶屋の住民たちは二人を見て囁き合った。
「ヒサメ様が盆踊りを踊っておる……」
「祭りじゃ踊れないけど、やっぱり踊りたかったのね」
「隣の男、なかなかセンスあるのぉ」
「ヒサメ様、すごく楽しそう……」
やがて二人は一通り踊り終えると、住民たちの拍手喝采が茶屋に響いた。
「あ、ありがとうございます」
「ありがとうございます」
住民がにっこりと笑う。「ヒサメ様! やっぱり絵になりますね!」
もう一人の住民も続けた。「二人とも見事な踊りでしたわ」
スキアとヒサメは互いを見つめ、微笑み合った。
「ヒサメ様、とても嬉しそうですね」
「ええ、とっても」
スキアの盆踊りを教えるヒサメ。いつも踊りを見ていたから覚えていたんですね。
警戒することを忘れないが、しっかりと祭りは楽しんでいたヒサメ。
住民も初めて見るヒサメの盆踊りにときめいたことでしょう。




