A3:ラスボスは暇です
アキ視点です
――そして何やかんやあり。
無事、魔王襲来イベントは終了した。
めでたしめでたし。
え? 私が何をしていたか?
……あれよ、あれ。
何もしてないわ。こんちくしょう!
一応、「何か手伝えるかな?」とは思っていた。
思っていただけだ。
突然現れた天使二人が、すべてを華麗に片付けていった。
完璧に。
鮮やかに。
私は?
見てた。
誰だよ、あの天使。
一応サラ様の配下らしいけど――
サラ様って何者なの?
イベント終了後、私は恐る恐るサラ様に尋ねた。
「もう魔王のイザベラ様がいるのですし、私はラスボス役を演じなくても良いのでは?」
するとサラ様は、きょとんとした顔で言った。
「イザベラは『南の大陸で異邦人を待つ』って言ったでしょ? 冒険中の異邦人に接触する役はできないよ?」
なるほど。
つまり――
私、続投。
どうやらラスボス役は、引き続き私らしい。
とはいえ、今すぐ出番があるわけではないらしい。
「当面は待機でいいよ」
とのこと。
以前はそれなりに仕事があった。
だが「ラスボス役」になったことで、それらはすべて免除された。
結果。
めちゃくちゃ暇。
そんなある日。
暇を極めし私の元に、一人の天使が現れた。
セイス様だ。
ちゃんと話すのはこれが初めてである。どうしたのだろうか?
「アキ様、今お暇ですか?」
ええ、そりゃあもう。
「はい。暇です」
即答である。
「ちょっとご相談がありまして……」
(相談? 私に? まあ暇だしいいけど)
「構いませんよ。どうされました?」
「ありがとうございます! では早速……アキ様は、サラ様のお好きな物をご存じですか?」
好きな物?
うーん。
わからん。
「すみません。存じ上げません。それがどうかされましたか?」
するとセイス様は、ほんのり頬を染め、両手を胸の前で組んだ。
「もちろん、サラ様のお世話をするためです」
「お世話?」
「身の回りのお世話……おはようからおやすみまでを見守るご奉仕……あぁ……想像するだけで……」
うっとりしている。
(この子、清楚で真面目な天使じゃなかった? あれ? 方向性違くない?)
そう思っていると――
「こらセイス!!」
もう一人の天使、ナナエル様が飛んできた。
「こんなところで何してるの!? また変なこと言ったでしょ!」
「変なことなんて言ってませんよぉ〜」
「アキ様が困ってるでしょ!」
「アキ様、私変なこと言ってませんよね?」
急にボールが飛んできた。
(うーん……ギリギリ無罪? いや有罪? でも庇っておこう。将来のために)
「ええ。相談を受けていただけですので、特に問題は……」
「ほらぁ〜」
「ホントに?」
ナナエル様が疑いの目を向ける。
「……まあ今回は信じる。でもね、アキ様。この子すぐ変なことするから、迷惑なら言ってね。シバいとくから」
シバいとく。
天使とは。
「えぇ〜! まだ相談終わってないですよぉ〜!」
「どうせろくでもない相談でしょ! 帰るよ!」
「あぁ〜! アキ様〜!ナナエル?私、一応お姉ちゃんなんだけど?お姉ちゃんの威厳はどこに行ったの?」
「知らないわよ!さっさと帰るわよ!」
セイス様はそのまま引きずられていった。
去り際まで騒がしい。
……なんだったんだろう。
急に賑やかになったなぁ〜
……まあ、平和なのは悪くないか。
こうして私のラスボス生活は始まった。
とりあえずこれで一章魔王襲来は完結です!
ちょっと情報詰め込みすぎたのは反省点です。
二章から物語が本格的に始まります!
次話の投稿はだいぶ先になりますので楽しみにお待ち頂けたら幸いです。
面白いと感じましたら、ブクマ、評価、コメント等をよろしくお願いします。




