6.うちの王子は傷心
数日後、都合よくも農作業を手伝うことになった。
「あー今日もこくおーとおーひさまがきてくれたー!!」
「おうじさまもいるー!!」
……俺だけ敬称なしなんだ……。
ジョニーは相変わらず村娘にモテるなぁ。
「おーひさま!べんきょーおしえてください!」
「うふふ、いいわよ。えーと、まだ読み書きが不十分ね。みんなで競争よ!だれが一番に読み書きをマスターするかしら?」
「おれだ!」「わたしよ」「おれにきまってる!」
イリーナはさすがだなぁ。
で、肝心のカエはっと。
「おい、ジョニー。カエってどの子だよ?」
「あの、木陰にいる子……」
モジモジして、カワイイやつだ。イケメンなのになぁ。残念イケメン?
俺はカエの元に突撃を試みた。直前になって話声が聞こえた。
「えー、王妃になれば贅沢し放題でしょ?こんな畑仕事とはオサラバだよ。そのために王子に近づいてるんだけどさぁ、初心過ぎない?ちょっとモーションかけただけで、落ちそうだよ?この辺の男を落とすよりも超簡単に落ちるの!笑えるよねー」
「え、マジ?悪い女だね、アンタ。王妃になったあかつきには私にも宝石の一つでも渡してよー?」
「わかった、わかった(笑)」
なんだ?この会話は?『王妃になれば贅沢し放題』?無理無理、今の王妃を見てごらんよ。『畑仕事とはオサラバ』?……俺畑仕事しに来てる王家の者ですけど?
結論:カエなる女は悪女です。表の顔ではジョニーにすり寄ってるかもしてないけど、裏の顔が汚すぎる。そのような娘は王家に必要ありません!
このことは、夕食の後にでもジョニーに伝えよう。
……と思ってたのに、俺の突撃が心配でカエの発言をジョニーも聞いていたらしい。
「父上、俺はしばらく婚約者とか要りません。カエとはスッパリ別れます」
そんなにショックだったのか……。
とはいえ、跡継ぎ問題とかあるから、婚約者はいて欲しいよなぁ。困った。まぁ、この件は保留にしよう。
夕食時、ジョニーの部分だけ葬式の様に暗い。
「そういえば学園にいたときね、『聖女』っていう子がいたのよ。でもその子、婚約者がいる高位貴族令息を侍らせてて、挙句王子まで手を出そうかってところだったのよ」
「『聖女』なら地方を治癒して回ったりしないのか?ちっともなんかただの『尻軽女』に聞こえるんだが?」
「さすがに、その時点でその『聖女』が魅了魔法を使っていることがわかって、お家共々御取り潰し!って事件があって大変だったよ~。お家が男爵家だったから、そんなに大問題にならなかったけど、もっと爵位のある名家だったら大問題だったわね」
どこで魅了魔法なんて覚えたんだ?……っとそういうのは向こうの王家が調べることか。うちは関与してないな。
「『聖女』って地方の貧しい人を治癒して回ったり、そういうイメージなんだけど?」
俺は思う。
「そうだよねぇ?」
セリーヌも思っていたようだ。
「自己申告なの?自分で「私は『聖女』で~す」って言いふらしていたの?」
イリーナの疑問もその通りだ。
「うーん、なんか教会が認定したらしいよ~?」
それならそうと、せめて教会で祈るとかすればいいのに、男を手玉に取るとかするか?
「あれ?ジョニー、大人しいね?」
「おにーさまはしょーしんちゅーっておかーさまがいってた。すざんぬがおにーさまをいやすの!」
「スザンヌは優しいなぁ」
ジョニーはスザンヌを抱き上げて、膝の上に乗せた。
「すざんぬはおーきくなったら、おにーさまとけっこんするんだもん!」
「美人になったらな!」
……絶対美人になるぞ?なにせ、イリーナの血が混ざってるからな。無責任な発言は自ら
の首を絞めるぞ。




