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第35章『彷徨える巨影』

 彷徨って。

 探し続けて。

 向かう未来は闇の中——

『どこに行ったの?』

 薄暗い迷宮で、影が忙しなく蠢いていた。

 光が届かないはずの迷宮内部は、点在する魔鉱石が放つ輝きで微かに陰影を浮き上がらせていた。


 影の群は追い立てられ、蜘蛛の子を散らすかのように四方へ逃げ出す。


 その原因となる巨大な影が、重い足取りで入り組んだ迷宮を彷徨う。

 全身を小刻みに震わせ、荒い呼吸を整えることもせず、周囲に視線を巡らせている。


 本来であれば中層域に存在しないはずの存在に、縄張りを追いやられる魔物の数が増えていく。

 自らの住み家を追われた魔物達は困惑と怒りのまま弱者へ牙を剥き——


 迷宮は、連鎖する暴威に満たされていく。


 巨影の進行は、ある目的を果たすために行われていた。

 微かに感じ取れるマナの残滓を追い続けているのだ。


 その先に答えがあるのか——それすら分からない。

 だが、もしかするとという淡い望みだけが、行動を起こさせていた。


 何故自分の前から姿を消したのか。

 その答えを求めて、歩み続ける。


 ただ、知りたいだけなのに。


 幾度となく繰り返してきた結末が、心を蝕んでいく。


 胸の奥が黒く染まっていくのを感じながら、その真意を推し量ろうとする。

 しかし、どれだけ思考を巡らせたところで推測の域は出ない。


 やはり、——しなければならない。


 ソレは答えを求め、闇の中を彷徨い続ける——

 お読みいただきありがとうございます! 


 少しでも気に入っていただけたり、続きが気になるなぁと感じていただけましたら、幸いです。

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