教会幹部との戦闘
教会裏手の騒ぎを聞きつけ、
一人の男が現れた。
白銀の法衣に身を包み、
背中には巨大な魔導書を背負った神官。
その異様な存在感に、周囲の信者たちは息を呑む。
「……貴様が、騒ぎを起こしている張本人か」
男は冷たく言い放った。
名は、グラディス。
この都市教会を取り仕切る幹部神官。
ギルドから流れていた情報と一致する。
(──こいつが、腐敗の中核か)
俺は静かに構えた。
──
グラディスは魔導書を開く。
ズズン!
空気が震える。
「汝、不敬なる者よ。聖なる審判を受けよ!」
次の瞬間、
巨大な雷光が空から降り注いだ。
神罰魔法。
正面から喰らえば、ただでは済まない。
だが──
(……見える)
俺は寸前で横へ跳ぶ。
雷光は地面を抉り、爆発音が響いた。
(雷撃か……)
奴の主力は、純粋な魔力による破壊。
ならば。
(距離を詰める)
俺は爆煙の中を疾走する。
オーガの膂力、魔獣の俊敏性、
吸収したスキルすべてを総動員して──
グラディスの懐へ、一気に潜り込んだ。
「──なッ!」
驚愕する幹部神官。
俺は、迷わず手を突き出した。
≪スキル【強奪】発動≫
ズズズズズッ!!
グラディスの体力、魔力、雷撃スキル、魔導書補助スキル。
すべて、俺の中に流れ込んでいく。
「ぐああああああっ!!」
悲鳴をあげ、崩れ落ちるグラディス。
──
(ふう……)
重い一撃だった。
もし直撃していれば、俺でも無事では済まなかっただろう。
だが、勝った。
幹部クラスを、正面からねじ伏せた。
──
信者たちは、もはや手出しできず、
ただ俺を恐怖の眼差しで見ていた。
「……お前たちも、覚えとけ」
俺は静かに告げる。
「神だの祝福だのを騙る腐った奴らに、未来はない」
そして、
俺は教会を後にした。
次なる標的──
教皇庁本部への道筋を、心に描きながら。