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状態異常回復しか使えないヒーラー  作者: びび びび蔵
2.仲間
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09. カナデとの依頼 01

「ルティ様、これはどう言う事でしょうか」


カナデが驚いた様な表情をした。


最初に来た場所はカナデが受けた依頼先で、毎日の様に来ているミゼッタの町の下水道だ。


ルティは独り言の様に話し始めた。


「初めはリカバリーの魔法で魔物を倒していたんだよ。その後に使い出したクリーニングの魔法が、どんな場所でも綺麗にするんだよ」


ほらっ!


ルティが指先を指した方向に向けクリーニングを唱えると、一面が黄金色に光だしピカピカになって行く。


「この魔法も初めはこんな感じじゃ、無かったんだけどね」


ルティはカナデの方に振りかえり、下水道に流れている汚水を手で汲んで見せた。


「どうだい、この清潔な水は..」


驚くカナデをよそに、小川の様に綺麗になった下水溝に小魚が泳いでいた。


鼻がひん曲がるほどの強烈な臭いが充満していた下水道が今や、完璧に清掃され下水道を思わせる場所では無くなっていた。


言葉を失うカナデに、先に来ていたアリアさんが声を掛けて来た。


「ルティ様、なんですか此処は? ここまで綺麗に掃除をしてくれた冒険者は今まで居ませんでしたよ」


アリアさんも驚きの声を上げながら、持って来た資料になにやら書き込んで行く。


「さてとルティ君、どうやってこの状況になったのか説明して貰いましょうか」


胸の谷間から目が離せない距離に、アリアさんは興奮したかの様に押し迫りルティは説明して歩いた。


それから数時間、アリアさんにこの数週間の事を話し、下水道の水質汚染並びに環境改善の進展状況を報告した。


2人の後を歩くアリアのシッポが下がり、少し寂しそうに思えた。


下水道改善計画

・内壁や通路= 徹底洗浄・防腐効果

・排水溝・汚水= 毒素などの排除

・光石配置= 魔石に光の魔法吸収させアカリ効果

・植物の配置=苔などの植物を配置 


「では下水道の報告は以上でいいですね。では私は一度ギルドに戻りますので..」


アリアさんがウインクしたかと思うと、小さくバイバイと手を振り足早に去っていった。


リカバリーとクリーニングの魔法で解決、これだけで最近では魔物はあまり見なくなっていた。


リカバリーの魔法効果も凄まじく、ほぼ全ての状態異常を回復する。


クリーニングの魔法は順にレベルが上がり、LV5のMAXまで上がっていた。


次の依頼は「ポポリン 50体討伐」


このポポリン50体討伐は、LV1からいるポポリンスライムを討伐すればいいもので、容易に依頼を完了出来る所から人気の依頼となっていた。


ここはミゼッタの町から南西にあるポポリンの泉。

この場所はポポリンが大量に湧くスポットで、初心者から中級者までの狩場である。


レベルが低い魔物に混じって経験値が高いのや、ギルを吐き出すポポリンなどの色々な種類のポポリンが出現する。


「御主人様、そちらにメタルポポリンが行きました」


ルティは渾身の一撃を放つが、3ダメージと攻撃が通らず悪戦苦闘する。


「リィヤ!」


掛け声と共にカナデは連続で斬り入れダメージを与え、ボンッと弾けアイテムがドロップする。


「御主人様、まだまだですよ」


次から次へと湧き出すポポリンに、時間を忘れた様に2人は狩りを楽しんだ。


「さてお次は御主人様のパスですが、どちらの常設イベントに成るのでしょうか?」


カナデはルティと一緒に戦うのが楽しいのか、シッポの先がピコピコと動き、平然を装っている所がなんとも分かりやすい。


「この辺りで一度、休憩に入ろうか? 腹が減っては戦はできぬと言うだろ」


ルティはカナデに話すが、今ひとつ分かって無いそぶりをする。


「腹が減ったら十分な動きが出来ない。先ずは腹ごしらえして、エネルギーを蓄えろという意味」


説明するルティにカナデに腕組みをして来たが、その光景は大人と子供が並んで歩いている様にしか見えなかった。


ミゼッタの町の軽食屋「カモミール」


「はい、いらっしゃい」


軽食屋の女将さんが声を上げる。


「あらルティ君じゃない?」


ルティは女将(オカミ)さんに声を掛けられる。


「あんたの掃除のおかげで、こんなにお客さんが入ってくれる様になったんだよ。今日はおごるから彼女とランチして行きなさいよ」


女将さんに一方的に言われ、照れた様に笑うルティだった。ミゼッタの町の商店街の清掃依頼も、ほぼ毎日ルティが請け負っていたので顔が広かった。


「御主人様、本当に凄いです」


ランチを食べながら、カナデが話を聞いてくる。


「そうなんだよ。余りにも汚いから、順に綺麗にして行ったら商店街もこの通りさ」


通りは日差しを浴びて煌き、ミゼッタの町の商店街も清潔感で満ち溢れていた。


やり過ぎたと思う反面、綺麗になったと思うルティだった。


「じゃあ、お次は僕のパスを使う番だね」


ルティはパスを掲げた。


「行くよ」


ブーン


2人を何処かに転送した音が聞こえ、魔物の群れの中央に転移していた。

クリーニング

LV1 : 身近な物・服・身体

LV2 : 臭い・範囲効果

LV3 : ワックス効果

LV4 : 浄化効果

LV5 : 運気上昇効果


「洗浄士の称号」を得る。

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