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状態異常回復しか使えないヒーラー  作者: びび びび蔵
2.仲間
10/18

10. カナデとの依頼 02

「ルティ様、ルティ様!」


悲鳴にも似た声をカナデが発するが、周りのざわめきに声は掻き消されルティには届かない。


何十ものドクロ兵士がルティやカナデを取り囲み、既に参戦していた冒険者たちへ襲い掛かる。


「ウォォォォ、このイベントはなんだ?次から次へと敵が湧いてくる」


返り血を浴びた冒険者Aが声を上げる。


「ドクロ騎士とか上のクラスじゃないか」


頭に響き渡る声


「今回のイベントは攻城戦を踏まえた戦闘らしいわよ」


どこからか女冒険者Bの声が聞こえて来る。


ゲーム内でチャットをしている様な感覚、ルティは心の中で念じる様に話す。


(皆さんはよく来る方なんですか?)


その言葉を無視する様に声が湧き上がる。


(おいあの黒い剣士がいるぞ!二刀流の..)


襲い掛かって来る魔物に次々と斬撃を放ち、その者の周囲は絶対的な領域である様に、魔物は肉塊となり絶命して行く。


この声にルティは気づいた様に視線を向ける。


「カナデ」


カナデの戦闘力の高さとバランスの良さはピカイチだった。周りにいる冒険者に回復魔法ヒーラルを掛け、前線を押し上げる様に雷撃波を放った。


カナデは周りにいる冒険者たちと連携する。


そんな光景を横目に最終イベントが発生した。


湧き出ていた魔物の進軍が止まり、回復を許すかの様に白いモヤが立ち込だす。


「おい其処のプリースト、お前だお前!」


ルティの周りに他の冒険者が取り囲む。


「イベントボスが出現する。その前に完全回復をしてくれ、それと重複回復魔法も宜しくな」


しかし.. 回復魔法は使えない。


ルティは頭を下げて小声で呟いた。


「無理です。僕はその魔法が使えません」


唖然とする冒険者はルティに対し罵倒を浴びせて行く。


「なんの為のプリーストなんだよ。回復役も出来ねーのなら辞めちまえ!」


最終ボスが出現するまぎわ、回復が出来ないプリーストの話題が念話で駆け抜けた。


誹謗中傷がルティを包む。敵が現れた事に気付いていないのか、笑い声が消える事が無かった。


黒い煙を立ち込ませ現れ出たのは巨大な骸骨。


餓者髑髏(ガシャドクロ)が出現した。


「おいおいマジか..」


冒険者たちが汗を拭う。


何体もの浮遊する悪霊が冒険者を襲い、その都度に耐性異常を起こして行く。


キュールリー


悪霊が勝ち誇った様な奇妙な声を上げる。


悪霊が冒険者の身体を通過すると、たちまち冒険者はガクガクと倒れ膝をついて行く。


「おい、どうした」


冒険者たちに混じってカナデは、必死の抵抗を見せていた。


「ヒーラル」


餓者髑髏の波動に呑まれそうになる者たちを後退させ、自らが盾となる様に回復魔法ヒーラルを掛ける。


暴言を吐いていた者たちも、現状の動向に本気で対処をし始めだした。


「一気に叩くぞ!先ずは浮遊する悪霊からだ」


他のプリーストが魔法を唱える。


「セフティオール」


冒険者たちの周りに障壁ができ、物理攻撃緩和の膜が出来る。


「エンジェルランス!」


天からいきなり大きな十字架が大地に刺さる。


その瞬間、浮遊していた悪霊が消え失せて行く。


ガーン! ガーン! ガーン!


悪霊を倒した数の鐘の音が鳴り響き、冒険者たちは一気に形成を立て直して行く。


あれからどれぐらいの時間が立ったのだろう?

既に前衛の者たちは剣を地面に突き刺し、3本足で立っている者たちが目立っていた。


「餓者髑髏は此処まで強いのか?」


最終3段階目の変態した異常攻撃に、冒険者たちは次々と仲間を失っていく。


しかし1人どんな毒素攻撃にも耐え、戦闘に参加せず隅に立つ者がいた。


誰からの目にも映らない者はただ一言、魔法を唱える。


「リカバリー」と..


その瞬間、呪いが打ち解ける様に消え、冒険者は最後の気力を振り絞り攻勢を掛ける。


そしてカナデの一撃のもとに餓者髑髏を打ち倒した。


ウォォォォ!


イベント空間は冒険者たちの歓喜の声で充満する。


「餓者髑髏、討ち取ったぞ!」


「レアなアイテムはドロップしたか?」


「俺たちの取り分はどれぐらいだ?」


参加した冒険者たちは、同じく戦った者達にエールを送る。


そして、戦いで最も活躍したであろう冒険者に、一番良いドロップアイテムを進呈する。


「今回はあんただ、黒豹のカナデさんよ」


パチパチ!パチパチ!


冒険者たちはカナデを囲み拍手で勝利を祝う。


今回の経験値が計上されたのを確認したのち、イベント会場にいた者たちは一人また一人と消えて行った。


しかし誰もが帰った場所で1人佇む者がいた。


その者を見つけ女は足早に駆けて抱き付いた。


「ルティ様..」


自分よりも小さな主人に抱き寄せられる姿は、何処か泣いている少女に見えた。


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