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18・西播怪談実記草稿八1-3
ともあれ、政範の新婚生活は大きなトラブルもなく概ね好調。
姉と妹が再会を果たした時期は不明だが、天文二十三年の節分(1554年3月6日)頃には既に播磨に呼び戻されて姉の世話を行っていたことが確認できる。昨年の夏以降、離れて暮らしていた姉妹が揃ったときの喜び様は相当なものだっただろう。
しかし、やはりというか、彼らの幸せな生活もそう長くは続かない。
二月も半ばを迎えた時、佐用郡では大きな事件が起こる。
改修途中の上月城が突如何者かによって占拠されるのである。




