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ハーフエルフの父~エルフの里国編~  作者: タマツ 左衛門之介久


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シーズリの靴とキュワイアト・シヅィスタァ・ビィェル 真っ白な花

 ロビックスコーラのシーズリに作ってもらった靴は、兎に角凄い!


 私は、チョコレートを幸せそうに食べる風童達を羨みながら、リーザの住居を後にした。

「リーザ、あの濃厚だとか言ってたチョコレートって」

 後で貰えるって言ってたけど。

「ええトキヒコさん、ご心配無く。さくらより届きましょう。」

「そうか、良し!」

 まあ楽しみは、後に取っておいてもいいか。


「それとあの赤いチョコレート、どうやって作ったの?」

 チョコレートは好きだけど、生チョコだとか、どっかのパティシエが作った高級な物とかは食べた事無いし。

 ミルク、ブラック、ホワイトチョコレート、その種類と呼べる物もその程度しか知らないし。

 だけど赤いチョコレート、それが有るのは知っていたけど見たり食べたりした事は無い。それに、何を使えばああも赤く成る物なのだろう?

「さくらは『企業秘密』と申しておりました。ですのでさくらの思考を尊重しましょう。トキヒコさん、秘密ですよ。」

 あ〜、リーザまで。

 でもオレだって、良い物を貰いに行くんだしなー!



「越える者」

 リーザと並んで『物創り横丁』を歩き進めば、多くのシズロック(男エルフ)とフェアルン(女エルフ)を問わず、声が掛かる。

「越える者」

 (リーザにね。)

 あれか?声を直接掛けて来るのは、意識を届かすには、建物内と歩く石畳と少し距離が有るからか?

 向き合い、手を伸ばし届く程度の距離であれば、エルフの里国の者達は、口を開かず共やり取りをしてしまう。

 お互いの距離が。どれ位離れていても有効なのかを説明を受けた事も、検証した事も無い。


「トキヒコ、」

 私にも声が多少掛かる。

 エルフの者達の意識は、私には届かない。

「トキヒコ、暫しサッカー成るを行っておらぬが、」

 私は“魔力”を内には秘めてないから。

 そして、声を掛けてくれるエルフは、そう、ムッさいシズロックが多いんだけど。

「うんうん、オレも最近ボール蹴って無いなぁ、今度やろう」

 ムッさいシズロックであっても、それは嬉しい。

 ただ、エルフでは無い私は、皆のように相手の意識が伝わって来る事は無い。悔しい。

 だけど会話が成立するので問題は無い。



「シーズリ、元気〜」

 何か久し振りにここに来た気がする。

 サッカーボールが納められてる箱も、サッカーの看板もまだちゃんとココに有る。


「シーズリ、オレの靴出来た?」

 活動的な靴!

「ああトキヒコ、待たせ申した。」

 ロビックスコーラのシーズリは一足の革靴を取り出した。


 シーズリが私の為に作ってくれた靴は、くるぶしが隠れる位のブーツタイプだった。

 ブーツだなんて、コンバースのバッシュ型かバイク用の物しか今まで持っていなかったから、それと形について、どうこう言ってはいなかったけど、自分としてはちょっと意外に感じた。


 そしてこの靴全体に何やら厚みが有り、私の足に対して一回り、いや二回り以上大きい。

 そしてその靴を手にすると、見たまま感じたままに、靴は少し重く感じた。

 私が要望した『活動的な靴』は、強くて軽くて動き易く丈夫な靴。

 確かに強くて丈夫そうだ。だけど他の要素が、何だかイメージとは少し遠く感じてしまった。

 

 少し戸惑い気味の私の顔を見るシーズリが言った。

「履けば分かる。」

「そおなのぉ~」

 まあまあ、では早速に試着!


 シーズリの靴はジャストフィット!おお〜

「あれ、何だコレ?!」

 先ず、靴を履いてその場に立ち上がると、靴底が優しく広がった気がする。いや、広がった!

 そして靴を形作る内と外、薄皮と薄皮との間に、コレまた(薄い動物の骨から作ったそうだ)フレームみたいなプレートが複数挟まっていて、脚の動きに連動してそのプレートが場所を少し移す。

「おお〜、何だこれ?」

 時にはバネの動作が加わり、物にぶつかったり、踏み込んだ時の衝撃を吸収してしまう。

 だけど内も外も滑らかで、中に何かが組み込まれているなんて微塵も感じさせない。


 その場でピョンピョンと飛び上がる。

 そうすると、何より軽い! 

 靴としての重量は、そこそこに有るのだけど、この靴が持つ反発性と柔軟性が靴本来持つ重さを忘れさせてしまう。

 履けば分かる!


「シーズリ、スゲーよ!ありがとう!」

 これは、いい!凄くいい!

 もう、魔法の靴だ!


 こんな靴を履いちゃったら、何処かに出掛けたくなる。

 この靴を履いていたら、多少の岩場だって斜面とか飛び降りる場面があっても、砂地でも行けるかも!

「リーザ、出掛けよう!」


「シヅィスタァ・ビィェルのキュワイト(花)だっ!」

 何処へ行こうか考える間も無く、浮かび上がった思い。

 それは何時もの3エルフ、ロダッズ、リュバック、シェックに教えてもらった花がある。



「トキヒコ、キュワイアトはどうか?」

 ギュラック(遊び)の仲間である、いつもの3エルフには、エルフの里国に生息する者達や、植物について問う事が多い。

 私にとっては見るも聞くも初めてのモノは多いけど、その中でも私の興味が引かれ易い、希少呼ばれるだろうモノ。


 それを彼らにとって珍しいモノと置き替えてもらうには、『多くは見られない』とか『数が少ない』『見る事が(物理的にも)難しい』物。

 もしくは見付ける、見た事によって何かを感じる物、、、美しい、眩しい、温かい、美味しそう、、、何か感情が起こり立つ物を。


「キュワイト、花か?」

「トキヒコが好む好まざる問わず、まだ目にして無き花であろう。」

 いやいや、エルフの里国でまだ見れて無い物なんて、殆どそうだよ。

「でも花って、どんな花?」

 この3エルフから“花”の話しが出るなんて驚きだよ!

 ゴツくてムッさいシズロックだから、似合ってないぞ。『花の王』の呼称をお持ちの、女王様から出るのなら納得するけど。


「エミチュジャシ・スウィアトロ キュワイアト。」

「シヅィスタァ・ビィェルそしてスウィエシックを放つ。」

「シヅィスタァ・ビィェル、美しいと聞く。」

 あれ?何か花の説明をしてくれてるんだと思うけど、何時もと何か雰囲気が違うぞ?

 何だか憧れだか、まるて夢の話しでもするかの様に。


「あーゴメン、何を言ってるのか分からない(エルフ達の言葉をちゃんと学んでいないし、それに聞いた事の無い単語?名詞?が多く含まれているから。)」



「シヅィスタァ・ビィェル」

「トキヒコ、ビィアリイ プラテク(白き花弁)を持つ」

「えっ、白い、何?」

 シェックは地面に木の枝で絵を描き出した。

「いや、シェック待った!」

 『どんなの?』と、聞いたのは私だけど、私はエルフ達の様に、意識や思考を伝え合う事が出来ないから、シェックが気を利かせてくれたんだけど。

 そしてエルフの里国の民達は、お互いの意識の疎通を図り、知識を伝播させる。

 そこには生活における知恵や危険などの情報の伝達。

 日常であればお互いの感情や気分の交換。


「わざわざ描いてくれるのは嬉しいんたけど、やっぱ実物を初めて見て『おお〜!』とか『うわぁ~』ってしたいから、その時の楽しみに取って置きたい」ゴメン。


「でも、イメージ位は知っていたいなあ、」

「ちょっとさ、描くのでは無くて体で表現してみてよ」

 『体で表現』まあボディランゲージのつもりで言ったのだけど、エルフ達に意味を理解してもらうのに少し時間が掛かった。


 そしてシェックがボディランゲージで表してくれたシヅィスタァ・ビィェルの花は、、、顔の前で左右の手の平を合わせた後、真ん中辺りを膨らませた。

 残りの2エルフも、シェックに習い手を並べた。

 ゴッツいシズロックの可愛らしい仕草を見せられ、みが溢れてしまった。


 どうやらシヅィスタァ・ビィェル、白い花は花弁が大きく開く花では無さそうだ。

 白い花と聞かされて、ユリを想像したのだけど。


 私のイメージした『ユリ』を読み取ったシェックは、

「トキヒコ、異と成る。」

「ん?」

「シヅィスタァ・ビィェルは開く花弁を持たず、包まれるが如くに其の場で生育と成ろう。」

 なんだよ、オレの想像した物が実際と違ってるのは有り得るだろっ、想像なんだから。

 あー、さっき笑った仕返しか?

「そして輝き放つ。」

 輝く、花が光るって事?

 シェックは頷いた。



「シヅィスタァ・ビィェル、白い花かぁ。それはどんな所に咲いているの?」

「進むには難或る場となろう。」

 エルフの持つ足で行き難い場所?

「(エルフの)皆が行き難いだなんて、オレならよっぽど無理じゃんか」

「シュゼロウニィ、ニエビィェスキ、ゾルッティ、フィオレットウィ、ザチョダヅィック ナァア シエビイェ、」

「えっ?!」


「ワィエロバーウォンス スカルーナドリィナ」

「えっ、もしかして色彩り付く岩の谷か?」

 色付く岩、色の染み出る岩、赤、蒼、黄、紫、、、空に向って競り立つ岩岩から多くの色持つ鉱石が現れ、色を染み出す。

 、、、あの場所。


『色彩り付く岩の谷。シュゼロウニィ、ニエビィェスキ、ゾルッティ、フィオレットウィ、、、ワィエロバーウォンス スカルーナドリィナ』

 そこって、ザーララさんと行った事がある。


「トキヒコの知る場と成るのか?」

「いや、いやいやいや、ちょっとだけ知ってるかなぁ〜て感じ。」

 やっべぇなぁ、エルフ達にはオレの意識が筒抜けだから、ちょっと深い所へ。


 そうだ、確かエルフは余り立ち寄らない。

 それは険しい岩に囲まれてて、狩りの対象が少なく、猟果が上がらないから。

 足場も悪く、絶壁の岩が続いていて、来る事、行く事が困難でもあると。

 それはエルフが立ち寄らない、だからザーララさんはそこで過ごした時を持っていたと。


「いやでも、その花を見る『ワィエロバーウォンス スカルーナドリィナ』までの道中が知りたいなぁ〜」

 ザーララさんと行った時は、空からバーっと翔んで行ったから。

 でもエルフ、オレの意識は筒抜けだから、ちょっと技をつかって、意識を深い所へ。 



 ただ、聞かされた時は、その道中が私では向かうのが無理(徒歩で進むには)だと思ったあの場所へ。

 あの3エルフの説明だとこうだ。


 大小の岩が重なる岩場の続くその上には、イバラの園が広がっていて、だけどその岩同士は転がり易い不安定な足場であると。

 それを抜ければ岩の壁となる斜面が待っている。

 岩壁の斜面は這い登るしかない。(どれ位登ればいいのか分からないけど。)

 岩壁の頂上は高台になっていて、シヅィスタァ・ビィェルの園が広がっていると。


「なんだよ、えらく詳しい説明じゃんか。行き難いと言いつつも、誰が行って来たの?」

 この3エルフも他の誰かに聞いた事。エルフ達は意識の伝達を行う事で、多くの共通意識や知識を持つ。

 誰かから聞いた事、人伝えの話しは噂話などでは無く、殆ど正しく現実の事。

「でも、誰かは行った事が有るんだ」


 それらを越えた先になるだとか。

 そしてシヅィスタァ・ビィェルを見てみたい、自分の足で行ってみたい!

 それは背が凄く高く、その先には白く輝く美しい花が付く。シヅィスタァ・ビィェル。



「シーズリ、この靴でワィエロバーウォンス スカルーナドリィナ(色彩り付く岩の谷)だっけ、行けるかな?靴底も大丈夫かな?」


「もしもさ、壊しちゃったら治せる?治してくれる?」

「トキヒコが思うがままに行けば良い。その後は私に任せれば良い。」


「ああ、あー、ありがとう!」

 シーズリの魔法の靴。汚したり傷付けるのは勿体無い。

 だけどこの靴じゃなかったら行けないかも知れない。


「良し、リーザ、ワィエロバーウォンス スカルーナドリィナへ行こう!」ちゃんと言えたか?

(勇んで言っても、途中の道中はリーザ頼みなんだけど)

「そして、シヅィスタァ・ビィェルを見に行こう!」


「しかし、トキヒコ、」

「ん、なに?、」


「今の刻では無い。」

 今じゃない、シーズリ何で?


「まったく、『越える者』が側に居ようとも、トキヒコを諌めし者はおらぬのか。『越える者』よりの諭しが有り様だが。」

 えっ、諭させるって?

 リーザを見ると、少しモジモジっとしてる感じがするけど。


「トキヒコ、時期である。シヅィスタァ・ビィェルは常に花持つモノでは無き。」

 あっ、そりゃそうだ。

 年がら年中咲いている花なんて無いだろうし。


「あー、それって何時?」



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