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absorption ~ある希少種の日常~  作者: 紅林 雅樹
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四十五節、嘲笑う者たち

下克祭、当日━━

朝早くから二年生までの生徒達がグラウンドに集められ、ラフィンより改めて採点方法などの説明が始まった。

聞き入る生徒達は昨日以上に引き締まった顔をしていた。中には緊張のあまり気分を悪くしている生徒もいるようだが、それでもぐっと堪えて深呼吸を繰り返している。

整然と並ぶ生徒はざっと500人。三年生は除外されている。

恒例行事である下克祭だが、三年生は基本的にそういった学校行事には参加しないことになっている。卒業試験が過酷なため、一年間を通しての準備期間が認められているのだ。

ほどなくしてラフィンの説明が終わり、早速下克祭が始まった。

年功序列で、まず二年生の若いクラス順に闘技場からラビリンスへ入っていく。

ちらっと見えたセレスは仲の良い友達同士でパーティを組んでおり、ユーテリアは相変わらず女だけのパーティを作っている。

二年が潜った後は一年生が続き、ギガクラス、メガクラス、ハイクラスと順に闘技場へ向かっていくところでミーナの姿が見えた。

彼女もパーティを組んでいたようだ。彼女の周囲にいるメンバーたちは笑顔だが、話しかけられているミーナは引きつったような愛想笑いを浮べている。

どうせ本当のパーティではないのだろう。

そう思っているところで、ダインからやや離れた位置からディエルが彼女たちを睨みつけていたのが見えた。

いまにも掴みかかっていきそうな形相だ。

本当に飛び掛らないか内心警戒していたが、最後にノマクラスが動き出したところで彼女は表情を緩める。

「いってくるよ、ダイン君」

突入前にシンシアに声をかけられ、「ああ。頑張ってな」、ダインがそういったところで彼女は笑った。

「ニーニアはあまり無理するなよ? まぁシンシアと一緒だから大丈夫だとは思うが」

「う、うん」

頷くニーニアは、何かいいたげな視線をダインに向けている。

彼は無言のままニーニアの小さな頭に手を置き、笑いかけた。

それだけでダインの思いがアイコンタクトで伝わったのか、ニーニアは笑って「じゃあ」、と手を振ってきた。

「お前等は実力は十分なんだから、気張りすぎずにな」

「うん!!」

シンシアとニーニアは笑顔を残し、そのまま並んで闘技場の中へ入っていく。

そこでちょうどディエルも他の友達との会話が終わったようで、笑顔だった彼女はこちらを向いた瞬間に真顔になった。



「切り替えが大変そうだな」

監視ルームへ入るなり後ろにいたディエルに声をかけると、「いつものことよこんなの」、大またでテーブル席まで向かい、どかっと椅子にかける。

「それより余計なことしてないでしょうね」

明らかに不機嫌そうな表情がこちらに向けられ、ダインは「ああ、何も」、と同じく椅子にかけながら答えた。

「あいつ等にも妙な気を起こすなって釘を刺しておいた。内申に響く大事なイベントだからな」

「だったらいいわ」

ディエルは腕を組みながらモニターを睨みつける。

そこでは早速モンスターとの戦闘が繰り広げられていた。

先日までは彼女は羨ましいだのなんだの文句を垂れていたが、最近気が立っていることもあり、無言のままモニターに険しい目を向けている。

傍目には気まずそうな空気が訪れるものの、「ん?」、何かに気付いたディエルが沈黙を破った。

「これ…何? 何かすごく速く動いてる奴が見えるんだけど…」

それは昨日ダインも見かけた、正体不明の男子学生だった。

モニターですら捉えきれないほどのスピードでフロア中を駆け回っている。

「ああ、また出たか」、どうにか顔だけでも確認できないかと、ダインは目を凝らしつついった。「昨日もそいついたんだよ」

「他の生徒達は気付いてないようだけど…」

「そうなんだよ。でも、かといって不正してるわけじゃなさそうだしさ。これは何かの魔法なのか?」

「う〜ん…精霊魔法とも違うようだし、単なる筋力アップの魔法なら回りの人たちも気付いてるはずだし…」

ディエルも目を凝らしているが、速過ぎてぼんやりとした姿しか確認できない。

「もしかして実体がないんじゃないか?」

側を通り過ぎた生徒の制服が揺れてないことを指摘すると、ディエルも「確かに」、とさらにぐっと前のめりになる。

「索敵系統の魔法かしら…? でもわざわざ人型の幻影作り出して走らせる意味が分からないし…」

「先生に報告しとくか?」

マイクを使いクラフトと通信しようとするものの、「別に良いんじゃない?」、ディエルは興味を失ったように椅子の背にもたれる。「サーチの魔法は制限されてないんだし。誰が使って何をしてるかは気になるけど」

「そうか」

そんな会話をしてる間に謎の影は消え、ダインは再び監視を再開した。

どのモニター映像も特に目立ったことは無い。問題のありそうな箇所もなかったため、彼の視線は自然と知り合いのところへ向けられた。

ノマクラスは平均して浅めの階層で奮闘しているようだ。単騎で挑んでいる生徒は必死にモンスターを倒していき、限界が来ては休憩エリアで回復を待っている。

四人パーティを組んでいる連中はモンスターをまとめて相手にし、連携が上手くいき同時に倒せたときには笑顔でハイタッチしていた。

各々が現時点での実力を発揮する中、シンシアとニーニアのペアはかなり下の階層にいたようだ。

周囲にはメガクラスと思しき生徒がいるが、彼らの戦いぶりに負けず劣らずの豪快な戦闘を見せている。

必死に得点を稼ごうと必死な奴もいれば、純粋に楽しんでいる奴もいる。

見ているだけで体が疼く光景が繰り広げられているが、ディエルだけは様子が違っていた。彼女は数百もあるモニターの中、ある一点だけを見つめている。

そこにはミーナがいた。

彼女のパーティはハイクラスにしてはやや浅めの階層で、談笑しながらフロアを周っている。

彼女たちの戦い方は、一見するとおかしな点はないように見える。

お互いにエンチャントを掛け合い、連携してモンスターを倒しているようだが、その中にミーナは含まれていなかった。

ミーナ以外のメンバーがモンスターを倒し、強敵を倒したときにはミーナ以外でハイタッチを交わしている。

ミーナはただおろおろするだけで、別のモンスターが湧いたときには邪魔だといわんばかりに押しのけていた。

同じパーティであるはずなのに、明らかな仲間はずれを受けている。

「…また陰険だな」、ダインは再び眉間に皺が寄った。「パーティ組んだ意味ねぇじゃん」

思わずいってしまうダインだが、ディエルは反応しない。ただ恐ろしいほどの目つきでそのモニターを睨みつけている。

そんな彼女に向け、「純粋に知りたいんだが…」、ダインは静かに聞いた。「首謀者は誰か分かったのか?」

ディエルの目だけが一瞬こちらに向けられ、再びモニターに戻される。

やはり何もいってくれないのかと思いきや、「…あいつよ」、隣のモニターを指差した。

そこにはミーナのクラスメイトがいた。男子女子混載したパーティが複数いるが、彼女が指差した先にはセミロングの髪をしたヒューマ族の女がいる。

「ミレイア・キリノフ」

忌々しそうにその名を呟き、ディエルは続けた。「予想通り影で指示を出していたわ。友達に頼んで耳の魔法を仕掛けてもらったから、間違いない」

その女は仲良さげにクラスメイトと談笑を交わしており、表裏のなさそうな笑顔をしている。

「表向きは人当たりがよくて人気が高いらしいけど、裏の顔は私以上に邪悪よ」

先生に頼ることを止め、独自に調べ上げた結果、ようやく得られた情報だ。真実なのだろう。

「少しでも変な動きを見せたら、即座に証拠を押さえてやる…」

ディエルの手元にはモニターの操作パネルがある。

ズームや首振りといった機能の他に録画機能もあるため、いじめの証拠を何としてでも掴もうとしているようだ。

彼女のもう片方の手には通信機が持たれており、証拠を掴んだ瞬間担任の先生に突きつけるつもりなのだろう。

そのときだった。背後のドアから音がする。

「私も参加するわ」

入室してきたのはラフィンだった。生徒会長であるラフィンだが、進行は運営委員会が別で用意されてるので代わったのだろう。

「変な話だよな」、張り詰めた空気を振り払うようにダインはいった。「お前も一年生で、しかも生徒会長なのに下克祭には参加できないってさ」

ダインの隣に備え付けられていた椅子にかけつつ、「仕方ないわよ、まだ謹慎中だもの」、ラフィンは肩をすくめた。

ちなみに今朝クラフトから連絡があり、今日の下克祭が終わり次第、その謹慎は解除されるらしい。

それから一言二言ラフィンと言葉を交わすが、その間にもディエルは熱心にミーナが映るモニターとミレイアのいるモニターを凝視していた。

ダインとラフィンの会話に参加する気は無い…いや、そんな余裕すらなさそうだ。

「気張りすぎじゃない?」

そんなディエルに、ラフィンは呆れたようにいった。

「うっさい」

反応するディエルだが、その声色はとげとげしい。

「私たちは下克祭全体の監視をするのが仕事よ。一点だけ見てるのは役割を果たしてないんだけど」

ラフィンがさらに突っ込むものの、「そういうのはあなた達二人で事足りるでしょ」、ディエルは相手するのすらめんどくさそうだ。

「あのねぇ、そういうこといってるんじゃないの。大体この問題は…」

さらに突っかかろうとしたとき、「もううるさいッ!! 集中できないでしょ!!」、ディエルはテーブルを叩き、怒鳴った。

「構うなっていったでしょ! どうしてこの前あんなこといったのに関わってこようとするのよ!!」

その必死の形相からは、一人で戦うことを決めたものにしか出ない、様々な感情が浮き出ている。

蛮勇、怒り、葛藤、不安…そして恐怖。

「邪魔しないでっていったでしょ! もう話しかけてこないで!!」

そんなディエルの形相を、ラフィンは冷静に見ていた。

「いい加減にしなさいよディエル」、平然と、静かな口調で諌める。「昔からそうやって壁を作ってるようだけど、今回の問題に絡めるのは間違ってる」

「知ったような口利かないでよ! あなただって昔から誰とも関わろうとしなかったくせに!!」

「何でそこで私の話になるのよ」

ラフィンもむっとしたような表情に変わり、また口論が始まると予感したダインは「まぁ待てって」、間に入った。

「ミーナってのはお前の元親友なんだろ?」、ディエルに顔を向け、相変わらずの呑気そうな口調でいった。「親友だったお前が何とかするっつってんだから、上手いことするつもりなんだろ。だから好きにやってくれ」

ラフィンにとっては思いもよらない発言だったのだろう。驚愕する彼女の視線を受けつつ、ダインは続ける。

「ディエルに過去に何があったとか、それで壁を作ってるとか何とかって、俺たちにはあまり関係ないことだからな。知ったこっちゃないし突っ込むつもりも無い。だからそんなことで不毛な言い争いをしてる場合じゃないだろ」

あのダインがそんな突き放すような言い方をするとはディエルも思ってなかったのだろう。少し目を見開く彼女だが、すぐに思い直し「そ、そうよ。邪魔しないで」、椅子にかける。

「何いってるのよダイン!」

すかさずラフィンが突っかかってきた。「協力しなきゃ解決しない問題なのに、ディエルが拒んだら余計に…!」

ラフィンの顔に手のひらを突き出し、「良いんだって」、遮った。

「下手に関わって余計にこじれたら面倒ってのはその通りなんだから」

「でも相手の親は政治家で…」

「ディエルだって財閥の娘で地位もあるんだから大丈夫だろ。これまでにも同じようなことがあって一人で解決してきたんだろうし、任せようぜ」

全く聞き入れようとしないダインに、「どうして…そんなこと…」、ラフィンはショックを受けたような顔になる。

そんな彼女に笑いかけたダインは、「ま、そう考えてるのは俺だけだろうがな」、少し声を大きくし、ディエルにはっきり聞こえるようにいった。

「学校生活を何事も無く過ごすためだけに、お前は上辺だけの友達を集めていたようだけどさ」、ディエルに顔を向ける。

「少し、友達に選んだ相手が悪かったかもしれないな」

「え?」、そこでディエルの顔がダインに振られる。「どういうことよ?」

彼女が疑問を向けたときだった。

ミレイア率いるパーティが映し出されていたモニターの中、他のクラスメイトを散らしつつミレイアだけがそのモニターに映っている。

彼女の顔がゆっくりとこちらに向けられた。

モニター越しにこちらの存在を認識していたかのような彼女は、じっとこちらを見ながら、その口元が一瞬歪められる。

何とも意地の悪そうな笑顔に見えた、そのときだった。

「…あ?」

ミレイアが映っていたものとは別のモニターを見ていたラフィンが声を出す。

ダインもディエルも彼女と同じモニターに顔を向けると、さっきまで映っていたはずのミーナの姿が消えていた。

いや、画面が真っ暗になっていた。

故障したのかと思ったが、そうではない。

突然、画面を覆いつくすほどの大量のモンスターが湧いていたのだ。

その群れから僅かな隙間が見え、そこにミーナが一人だけ立っていたのが見える。

彼女は必死な様子でバリアを張り巡らせるアイテムを使い、どうにかモンスターの猛攻を退けている。

ものの数秒間の出来事だった。

「な…何よこれ…」

他のモニターには画面を覆い尽くすほどのモンスターは湧いてない。明らかに異常だ。

「やっぱりあいつ等…!!」

ディエルはすぐさま手元にあった録画ボタンを押す。監視ルームが一気に緊張に包まれた。

「おい、これってあの時のバグじゃないよな?」

ダングレスのレプリカが湧いていたときのような様相にダインは聞くが、「あいつらが何かしてるに決まってるでしょ!」、ディエルはそういいながら慌てたように通信機を手に取り、担任の先生に連絡を取ろうとしている。

ディエルの言う通り、単なるバグではない。そのクラスメイトによるものだという証拠が、ミーナのいるフロアから隣接したモニターに映し出されていた。

ミーナがいるフロアは突き当たりで、出入り口が一箇所しかない。その出入り口を塞ぐようにして、ミーナのクラスメイトたちが休憩を装い座り込んでいたのだ。

しかもその扉は布か何かで覆われおり、内からも外からも入れないようにされている。

「くっ…! どういうことよ! 繋がらない!!」

ディエルが叫ぶ。マイクの通信もどういうわけか繋がらず、連絡手段が断たれているようだ。

「慌てるな」

ダインは冷静にいった。「録画してんだから、これ見せれば一発で…」

「ね、ねぇ」

ダインの台詞を遮り、ラフィンが戸惑い気味にいう。「これ、本当に録画できてるの?」

本来であれば、録画中ならモニターの上部にあるランプが点灯するはず。

しかしディエルが何度ボタンを押しても、そのランプは点かなかった。

「な、何よそれ! どうなってるのよ!!」

ディエルは大慌てで、壊す勢いでボタンを連打しても、モニターは反応しない。

そうこうしている間にも、ミーナのいるフロアは次々とモンスターが湧き出ている。

そのフロアには彼女しかいないようで、圧倒的な物量を前に、彼女を守るバリアにはひびが入り始めていた。

ラフィンが「あっ!?」、と声を出す間にバリアは脆く崩れ去ってしまい、一斉にミーナに群がり襲い掛かり始める。

殴られ、蹴られ、制服が破けていき、切れた箇所から赤い筋が見える。

「え、ど、どうして!? 怪我が治らないわよ!?」

ミーナの様子を見ていたラフィンが叫ぶ。

ラビリンス内のモンスターに襲われても、自動回復装置があるので怪我はすぐに修復されるはず。

しかし、怪我をしたミーナの足に治る様子はない。

どういうことだと真剣に原因を推理したラフィンは、「まさか…」、ハッとしたような顔になる。

「あのフロアにいるモンスターって、外から召喚したやつじゃ…」

「え…それってラビリンスの中の奴とは違うのか?」

「自動回復装置はラビリンス内のモンスターにしか反応しない。ミーナの怪我が治らないのはつまり…」

ラフィンが言い切る前に、ディエルは椅子を蹴倒しそのまま監視ルームを飛び出していった。

「あっ!? ちょ…!」

ラフィンが呼び止めようとしたときには、すでにディエルの姿は見えなくなっていた。

「ど、どこ行くつもりよあの子…!」

「ミーナのところしか考えられないだろ。先生には頼らないっつってたし」

「まだあの中に入っちゃいけないのに…厳刑になるじゃない!!」

確かにまずいのは分かるが、そういってられないのは確かだ。ミーナが危ない。

「ラフィン、協力してやってくれ」

ダインは真剣な眼差しと共に、ラフィンにいった。

「え?」、と固まる彼女に、「緊急事態なんだし四の五のいってられないが、かといってあのままラビリンスに乗り込ませるのは後々不味いことになる。お前の魔法で何とかうまいことやってくれないか」、そう頼み込んだ。

「そ、そんな便利屋みたいにいわれても…大体、さっきは放っておけっていってたくせに」

「ディエルがいたからな」、ダインは口の端に笑みを結ぶ。「デビ族ってのは、なかなか本性曝け出さないからなぁ」

「どういうこと?」

「ま、その話は後だ。とにかくディエルとミーナを何とかしよう。いまはお前だけが頼りだ」

ダインにそういわれては、ラフィンは頷くしかない。

「お前まで一緒に中に入らなくて良い。要は、ディエルがラビリンスに入るところを誰にも見られなきゃいいんだよ」

「分かった。やってみる。先生には流石に連絡した方がいいわよね」

「そうだな。だが相手は選んでくれ。中にディエルがいるんだから知られちゃまずいし、そういうことに割りと寛大な…うちの担任がいたら、あの人に頼む」

「クラフト先生ね、分かった」、緊迫した表情で立ち上がり、部屋を出ようとしたところで、「ダインはどうするの?」、と彼に聞いた。

「監視役が全員持ち場を離れるのはさすがにまずいから、監視を続ける。あいつ等がまた何かしでかすかも知れないし」

「それもそうね」、納得したラフィンは、それじゃあお願いとダインにいって、監視ルームを飛び出していった。

ダインは再びモニターに顔を向ける。

その中では見てるだけでも辛そうな光景が広がっていた。

大量のモンスターに蹂躙され、防御力を高めるアイテムを使ってはいるのだろうが、ミーナの怪我は増える一方だ。

制服はさらに破け、切り傷は複数に及び、逃げ惑う彼女は足を引きずっている。

必死に抵抗してはいるようだが、このままだと大怪我は免れないだろう。

音が無く映像のみだが、逼迫した空気が伝わってくる。

どうか耐えてくれと心の中で念じながら、思うことがあったダインはしばし考えていた。

それはミレイアの一連の行動だ。

「…どうもきな臭ぇな…」

監視ルームの中にダイン以外誰もおらず、何の魔法も仕掛けられてないことを確認した彼は、おもむろに携帯通信機を取り出す。

「こっちはどうかな…と」

ある番号を押し、その人物と声が繋がるのを静かに待った。

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