エピローグ:あまり気負わず生きてみますかな
アロハ、オハナちゃんと別れた後、俺は湘南台のマンションに帰宅した。コンクリート造りの慣れない部屋に置かれた、鵠沼の家から運び込んだ馴染みのベッドに転がって天井を仰ぐ。
社会人というと、企業や団体などに就職するのが一般的。俺も今のところは就職するつもり。浸地もその例に漏れず、しばらくは小学校教師を続けるらしい。
アロハとオハナちゃんは地元にカフェを開くため、調理師学校を目指し始めた。オハナちゃんは占星術の勉強もして、占いができるカフェにしたいという。
なんとなくだが、アロハとオハナちゃんの選択は、いつか生涯を閉じるとき、幸福に満ちていそうだ。
まだやりたいことが見つからない俺もいずれ、なるべく早く、しかし焦らず、自分が「これだ」と思える道を見つけて進んで行きたい。
どんな道を選んだって、苦難は付き纏う。どうせそうなら好きでもないことで苦悩するより好きなことで苦悩したい。そう思わないか? 俺はそう思う。
そこに行き着くまでの現実が厳しいのも重々承知。だって俺は、まだ道すら見つけられていないのだから。
苦しいとき、仲間がいる有難さを俺は思い知った。不器用で何もできない俺でも、ビーズを頼って少しは力になれていたらいいな。
そして、夢に向かって進みたい。夢があれば、できればいくつかあれば、追い詰められたとき、それが命を繋いでくれる。
そんな真面目なことを考えつつも、やっぱり気ままに生きていたいのが俺の性分。
夢を探して、夢を追って、あるがままに生きて冒険したい。
先は見えないけど、あまり気負わず、生きてみますかな。
お読みいただき誠にありがとうございます!
のらりくらりと連載を続けて気がつけば9年と11日。あの頃はまだ反抗期のガキでした。それがいい年したおじさんになってすっかり丸くなり、落ち着きつつあります。時の流れは人を変えますね。
それでは最後までお付き合いいただき誠にありがとうございます!
他作品の連載は継続しておりますので、そちらもお楽しみいただければ幸甚でございます!
ではでは!