↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
2/2

2

王の部屋で王と王女が2人きりで話していると、黒い外套をまとった2人組が突然音もなく入って来た。取次もなしにそのような者たちが急に王の居室に現れるのは異常事態だ。2人して顔色も異常に悪い。


「何だお前たちは」

 王が大きな声で侵入者に問いただすと、2人組のうち1人が答えた。

「私はアルキトゥーティスだ」

「何だと!」

 アルキトゥーティスといえば、知らぬ者はない正体不明の魔王だ。魔族の手下とともにしばしば人間たちに悪さをしているが、強大な魔力ゆえに誰も太刀打ちできず、なすがままにされていた。


「本当にお前が、世間でぶいぶい言わせている噂の魔王、アルキトゥーティスなのか」

「いかにも私がぶいぶい言わせているアルキトゥーティスだ」


それから侵入者の残り1人も王たちに自己紹介をした。

「そして俺は魔王のしもべ、ペロエモンだ」

「ぺロエモンだと。ふざけた名前だ」

「黙れ!俺の両親が1週間かけて考えてくれた名前を侮辱(ぶじょく)するのか」

「2人で1週間かけてそんな名前しか思いつかんかったんか……」

 魔族は頭が悪いのかもしれない。


それはともかく、王は魔王にたずねた。

「ここに来るまでに人がいただろ。どうやってここまで呼び止められずに入って来た」

「黙って忍び込むことくらいわけはない」

「まあいい。それで一体私たちに何の用だ」

 魔王は直接答える代わりにたずね返した。

「そこにいるのはセピア王女か」

「そうだが」

「私は美貌で頭もいいというセピア王女の評判をきいて嫁にもらいにやって来たのだ」

「魔王が人間の娘を嫁にするというのか」

「いかんのか。私にはうなるほどの富がある。私と暮らせば毎日贅沢(ぜいたく)できるし、退屈したときはフレンドリーな奴隷(どれい)たちが飽きるまで遊びにつき合ってくれる」

「むむ」


王は少し考えてから娘に言った。

「ああ言ってるけどどうする?嫁に行くか」

「行きません」


それから王女は自分で魔王に答えた。

「私はこの屋敷で父と2人末長く仲良く暮らすことになっております。ですから、申し訳ありませんが、誰も私たち2人の間を裂くことはできないのです」


「2人で仲良く……?」

 魔王は父子に奇異の目を向けた。

「うちの娘はときどきおかしなことを言うんだ。気にしないでくれ」

 王は魔王に説明した。

「ふうん……」

 魔王はまだ何かの疑いを抱いているようだったが、それはさておいて王と娘に言った。

「それでは嫁には来られないというのだな」

「本人が嫌と言っているからダメだ」

「ならばしかたがない。力ずくで王女をいただいてゆくとしよう」


これを聞いた王は、常に身に帯びている剣を鞘(さや)から抜きつつ大声で叫んだ。

「誰か来てくれ!曲者(くせもの)だ!」


すると王宮で働いている数人の家来たちがすぐに部屋へ駆けつけ、王とともに2人の侵入者をとり囲んだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。