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はるか昔、都市国家セパロの国王は娘のセピア王女に言った。
「娘よ、そろそろ誰か適当な男を選んで身を固めてくれんか」
「お父さま、それはできない相談です」
「なぜできない。お前は頭もいいし器量もいい。婿になりたいという男はいくらでもいるし、よりどりみどりじゃないか」
「私はよその男よりもお父さまが好きです。なので、結婚などせずずっとこの家にいたいと思います」
「親としては嬉しいよ。だが、知ってのとおり、結婚して子供を育てることは、王族を含めて国民第一の義務なのだ。内心独身でいたい者たちもいると思うが、国を維持するためにはしかたがないと思って結婚しているだろ?お前がいつまでたっても未婚だから世間体も悪いし、このままでは王家の信頼まで傷つきかねない」
「世間体など気にしたら負けです」
「勝ちとか負けとかじゃないんだ。お前の兄さんも姉さんもみんな結婚して家庭を築いたじゃないか」
「私はすでにお父さまの家庭の一員なので築くまでもありません」
「今は亡き母さんだって、結婚して家庭を築いたからこそ、お前がこの世に生まれたんだぞ」
「お母さまはお父さまと一緒になるために結婚したのです。私もお父さまと一緒にいるために結婚せずにいます。何の違いがありましょう」
「全然違う」
「国のためとか世間体のためとか言って無理に結婚して不幸になってもいいというのですか」
「不幸になるとは限らないぞ」
「断然なります。人間にとって大事なことは望まぬ結婚ではなく、親子が末長く仲良く暮らすことではありませんか?」
「そうかな……とにかく、遅くとも半年以内には結婚相手を決めてくれ。いいな」
「お父さまは私を追い出したいのですね」
「別に追い出したいわけでは……」
「どうしてもお父さまのそばを離れなければならないなら、私は川に身を投げて死にます」
「そんなむちゃな」




