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亡霊
春が巡り来て、その女
未練のある地に訪れ、墓場を掘り起こす
その墓に眠る男は旦那のような存在らしいが
私には骨にしか見えない。
ただ姿が違えど好きなものは好きなのだろう。
遺骨を骨壷から出して愛でているではないか
実に醜い
今にも脆く崩れてしまいそうな遺骨を抱いて
あゝ、私はここにいますよといわんばかりの目で
手垢にまみれた手で擦り合わせた。
その女は今は墓に眠っているらしい。
永遠の愛を確かめ合った遺骨を
手を
頭を
腕を
切り落としたのは私だったのだ。
愛でた遺骨は他人の誰からしいが。
私はただ静かに壊してやった。




