72.chapter ◆
「だから展開としては多分こっちの方が面白いだろ」
……。感服です。
今の状況。祈が私の書く小説のあらすじを一緒に考えてくれています。フローチャートにまとめ、簡単なあらすじを書き出し……その速さは真似できません。凄すぎます。
「問題はこれが短編で収まるかどうかだけど。……まぁ無理そうだったら俺に言えよ。何とでもしてやるから」
「ありがとうございます」
ぺこ、と頭を下げると、祈が「それにしても」と話し掛けてきた。
「お前らしくねぇじゃん。どうかしたのかよ?」
「へ? 何がですか?」
突然の問いにクエスチョンマークを100個ほど頭の中で飛ばしていると、祈はあらすじの原稿を指した。
「お前、提出期限はいつも守ってんじゃん。何かあったわけ?」
個人的にはこの提出物の方が何かあったわけと聞きたくなるような課題です。こんな課題聞いてません。ていうかシナリオにありませんでした。
「えーと……思いつかなくて?」
「何で疑問系なんだ。まぁいいけど。適当に書き上げとけよ。部活動交流会の前の週までに出来上がらなかったらペナルティ課すからな」
絶対やだー。
部長の隣の席を立ち、いつもの自分が良く座っている席に座りなおす。すると、隣の夢夜が声を掛けてきた。




