73.chapter ◆
「あらすじ、できましたか?」
「あ、うん。殆ど部長が考えてくれたんだけど……」
そう言いながら祈が書き出したフローチャートを見せると、夢夜は薄く笑った。
「……良かったですね」
「うん、まぁ。でも部活動交流会までに書き上げられるかどうか不安だよ」
困ったな、と頭を掻くと、フローチャートに目を走らせていた夢夜が私の手に触れた。……な、何ですか?
「よろしければ、お手伝いしましょうか?」
「えっ、いいよいいよそんなの!」
「いえ、先輩さえ迷惑じゃなければ是非。僕がやりたいんです」
じゃあ全部任せちゃおっかなー、とは言いたくても言えない。流石にそれはまずい。
「ど、どうしてそんなことを言ってくれるの?」
「……野暮なこと聞かないで下さいよ。……本当を言えばあらすじだって僕が先輩と一緒に考えたかったんです」
……。
…………いや、あのね。
確かに、夢夜は初めから好感度が上がりやすい子なんだけど。っていうか文芸部に入った理由が、「たまたま部誌で読んだ先輩の書いた小説に感動して、どうしても先輩に逢いたくて、一言でも良いから話してみたくて……だから入ったんです」だし。まぁ今の時点では本来それは明かされてないけど。これは彼のルートに入ってからのお話だし。だからまぁ、彼が積極的に話し掛けてくれるのは、シナリオどおりなんだけど。
………ここまで露骨では、なかったんですが。
野暮なことって何ですか野暮なことって。本来ヒロインはあなたの好意を全然知りませんからね? 野暮だろうがなんだろうが、そりゃ聞きますよ。
「……じゃあ……お願いしても、いいかな……?」
私が控えめに問うと、夢夜は花が咲いたかのように笑った。




