表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
61/61

【外伝】魔女エルサ・フェルム⑧

第八話



「あ"あ"あ"あ"ああ!!!!!」

「きもいきもいきもい!!!」

「なんだよお前ら!!!入ってくるなああ!!!」


「大丈夫!?あなた、落ちついて!」


教会に踏み行ったミレイはやがて異変に気付く。

教会内部が魔法陣に使用される古代文字で満たされていた。


「な…これ、魔法陣?」

「あなたがやったの…?」


「あ”あ”ー!?お前!!お前が!!お前がなんでここにぃ!!」

「魔女殺しが!!!お前がなんでここにいる!!!!」


「あなた、もしかして他国の…」


「あ"あ"あああぁ…こわれる…ごわれる、森の魔女にはめられた!!!」


「ネシカさん!?どういうこと!?」

「ううん、そんな状況じゃないね。あなた!聞こえる?」


「うるさいうるさいうるさい!!!!入ってくるな!!!」


「とにかくここにいちゃダメ!教会から出るの!」


挙句、悶え苦しむエルサを浮かせ、教会の外へと飛ばす。


やっぱりだ。


この声の元は亜空間だ。


ネシカさんの魔法ならたぶん大丈夫。


ーーミレイは意識を「持ち上げる」。


ーーー


ーーー


…………


『クスクス』


ーーあなた、誰なの?


『わたしはあなた』


ーー魔女、さん?


『あそぼ』


ーー落ち着いて。話せないかな。


『ねえ、あそぼう』


ーーそうじゃなくて、魔法陣閉じてほしいの。


『ねえ、これを見て』

『ねえ、これを聞いて』


ーー実体がない…。どうしよう。


『ねえ、さわって』

『わたしにさわって』

『さわってくれたら』

『わたしはかえるよ』


ーーほんと?


『さみしいの』

『さみしいの』


ーーそっか。きっと辛い思いした魔女の思念なんだね。

いいよ。

おいで。


『いいの』

『さわっていいの』

『ふれていいの』


ーーいいよ。

おいで。



『おまえがわたしをころしたのに』



ーーー


ーーそれは契約であった。

かつて存在した魔女、いや少女達の後悔の残滓。

憎悪、後悔、嫉妬の概念。

その思念体。

名も実体も持たないこの「魔女」との契約であった。

触れた瞬間、ミレイ・ブラウの記憶、感覚はかつての魔女達と同期する。


そうして、精神と肉体が奪われる、その僅かな手前。


ミレイ・ブラウは白銀に輝く砲身を胸元から顕現させる。


ーーこ、れ、は、や、ば、い。

う、た、な、い、と。


亜空間で無数の怨念に揉まれながら、ミレイは銃を構え引き金に指を添える。


ーーラグ君…助けて。



ーーー


「ジョージ、教会ってこれか?」


「うん。さっきの女の人、いいの?追わなくて」


「え、うん。ミレイに相談しようぜ」


コンコン


「おーい!ミレイ、開けるぞー」


ーーー


ーー



引き金は引かれる。



亜空間が一瞬で晴れる。


ーー


ミレイの意識が教会へと戻った。


ーーー


扉から差し込む光。


血。


人。


目の前には、見間違える筈もない。


ラグ・グニルの上体の欠けた姿。


ジョージ・カロンの左半身。


ーー




ラグくん


ーー


ジョージ


ーーー


『ほらころした』

『またころした』

『あなただよ』

『あなた』

『だからあそぼう』

『だから』




『あそぼうよ』



ーーーーーー


ーー


この日「魔女城」が誕生し、世界を、時空を彷徨うことになる。

幾年の歳月を遡り、各地で災厄をばら撒き、やがてこの日にたどり着く。

そして、バーサーカーが生まれ、悲劇は繰り返される。

何度繰り返され、何度世界は滅んだのか。

なにが違ったのか。

それは誰にも分からない。

それでも物語は続いた。

全てを壊した者たちが、ひとつだけ壊さなかった世界線へ。

ガラスの割れない戦い方を選んだ世界だけが、たどり着く結末へ。




エルサ外伝(終)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ