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×××××




『数日後。



彼女は手を取りながら笑顔でその彼を連れてきました。



どうやらピエロの励ましにより勇気を出した彼女は、その彼を射止めることに成功したようです。



嬉しそうにお礼を言う彼女に、ピエロは笑いながら一言、「良かったね」と伝えました。



ピエロは最後まで弛まぬ笑顔を送り続けました。



そして、自分の気持ちを胸にしまい、次の日から一粒の涙をメークするようになりました・・・・』


「ただの弱虫じゃないか。」

「え?」


女の子はキョトンとし、可愛らしく首を傾げた。


「だってそうでしょ?こいつ、告白を断られるのが怖かったんだ。だから、逃げた。ね、弱虫でしょ?」


僕は自信たっぷりに言うが、女の子はそんな僕を見てため息をついた。


「貴方の考え方は屈折してるわ。素敵なお話なのにどうして屁理屈を言うのかしら?」

「素敵なお話し?これのどこが。」

「彼女の幸せを願って自分の気持ちを隠したのよ?素敵だと思わない?」

「…思わない。それじゃ、彼女が可愛そうだ。」

「彼女が?ピエロじゃなくて?」


女の子は不思議そうに僕を見つめる。


「彼女はきっとピエロが好きだったんだ。」

「そんなこと何処にも書いてないわ。」

「書いてなくても好きだったんだよ。」

「わかったわよ。彼女は実はピエロが好きだった、それで?」

「彼女はピエロに引き止めて欲しかったんだ。」

「うーん、ややこしいわね。じゃ、なんで彼女は片思いしている男性が居るなんて言ったのよ。」

「言ったでしょ、彼女はピエロのことが好き。片思いの男性はピエロだったんだよ。」


得意げに僕が言うと、女の子は考え込むように手を顎に添えた。

しばらくの間考え込んだらしいが、お手上げといった風に両手を挙げた。


「分からないわ。」

「彼女はピエロが自分に脈があるかどうか試したんだ。なのに、ピエロは彼女を励ました。つまり、」

「脈なし、と彼女は思ってしまった。」

「そう。」

「……ややこしいわ。」

「そうだね。」


僕と女の子は何だか疲れてしまい、木に背を預ける。


「じゃあ、ピエロは自分の気持ちを伝えたら彼女と結ばれていたのかしら。」

「きっとそうだよ。」

「そう…。」


しばらくすると女の子の微かな寝息が聞こえてきた。

どうやら疲れて眠ってしまったらしい。

そんな女の子を見て思う。


(馬鹿なピエロ……。)


彼女が相談に来た時点で、連れ去ってしまえば良かったんだ。


そうすれば、こんなにややこしくならずに済んだんだ。


「そう思わない?チェルシー。」


チェルシーは答えない。

寝ているから当たり前だ。

起きたら話せばいい。


僕はチェルシーに寄り添い、目を閉じた。


「おやすみ、チェルシー。」


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