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追放先に悪役令嬢が。不法占拠を見逃す代わりに偽装結婚することにした。  作者: 椎名 富比路
第三章 住民のおかげで街の発展がはかどりすぎて怖い

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第26話 南バリナンの王都へ

 僕たちはアイスキャンディーを売り込みに、南バリナンの王都へ向かった。


「ボニファティウスと違って、賑わっているのう」


 魔族との戦いで終始ピリピリしているボニファティウスと違って、バリナンは商業が盛んである。といっても魔族との戦いはあるが。


「冒険者を、あまり見かけない」


「船に乗っているからね」


 レフィーメの疑問に、僕は瞬時に答える。


 一見平和そうなバリナンも、海からの侵攻に備える必要はあった。特に、海賊問題に悩まされている。


「ディータさま、落ち着いておられますね」


 ヘニーは、街の雰囲気に圧倒されていた。彼女はウッドエルフで、シティエルフではないからか。


「僕は身内が、バリナンの王族だからね」


 姉が、この国の王妃だし。


「しんどいかい?」


「のどかな森に住んでいたらでしょうか。こんな賑わっている街に入ると、感受性が強くなりすぎます」


 ヘニーが、身体を震わせる。


「どこかで休んでいくかい?」


「いえ。お供します。わたしは、ディータさまの秘書なのでっ」


 頭を振って、ヘニーは前進した。


「ムチャせんでええぞ」


 リユが、ヘニーと手をつなぐ。


「おう、あの串焼き、香ばしい匂いがするのう。買っていこう」


 全員分の串焼きを頼みつつ、自分は三本頼んだ。


「買ったらすぐ食べてね。王様を待たせている」


「ほうじゃった。そっちが優先かのう」


 三本の串焼きを、リユは一気に胃袋へ詰める。立て続けに、焼きたてをもう三本ほど、口の中へ。


「ああ、やっぱスパイシーじゃのう。アタシ好みじゃ」


「それはよかった。王城へ行こうか」


「うむ」


 人混みをかき分け、やっとの思いで城までたどり着く。ボニファティウスやシンクレーグと違い、屋根が丸い。流れている音楽も、独特の調べだ。


 王宮に入ると、すぐに王の間へ通された。


「やあやあ、よく来たね」


 上半身裸に、貴金属をつけた細マッチョの男が、僕たちを出迎える。彼が歩くたびに、ジャラジャラと貴金属が鳴った。


 この人物こそ、南バリナンの王である。


 隣にいるこれまた上半身半裸の女性が、僕の姉だ。昔は白ギャルだったが、今は黒ギャルになっている。チャラい性格同士、うまくいっているようでなにより。


「バリナン王、ピドー壊滅、父に代わって感謝する」


 レフィーメが、王に膝をつく。


「お礼なんていいよ。テッシム王から、鉱山資源をたんまりいただいたんでね。そういうごあいさつは、王様どうしてすませているから、キミは頭を上げなさい」


「寛大なお心遣い、重ねて感謝する」


 バリナン王の許しを得て、レフィーメは立ち上がる。


「あなたはお初にお目にかかりますな。竜人族のお嬢さん」


「アタシの正体を、知っとるんですか?」


 バリナン王に素性を知られていて、リユはあっけにとられた。


「もちろんさ。我がバリナンの情報網はすさまじいからね。我が国が誇るスパイスの効いた串焼き、気に入ってくれたかい?」


「――!?」


 リユが、口を押さえる。

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