第22話 ダンジョン攻略と、ラッキースケベ
先日の襲撃で、魔物たちがどこから攻めてきたのかわかった。
今日は、敵が拠点としているらしきダンジョンへ行く。
未開の遺跡に、モンスターの巣があった。ここを攻略できれば、さらにうちの領土は拡大する。
僕たちが積極的に拠点を拡大しているのは、南東からの妨害をあまり心配をしなくてよくなったからだ。
しかし南バリナン王国は、タカ派のピドー王を取り逃がした。そいつの行方を追うのも、僕たちに役割となっている。
ピドー王が、このダンジョンを根城にしている可能性も高い。
まあ僕は、ダンジョンにいるモンスター共の素材がほしいのだが。
「キミはお姫だろ、レフィーメ。僕が先頭になるよ」
「大丈夫、ディータ。戦闘力を把握してもらいたい」
重いハルバートを片手で持ち上げながら、レフィーメが前へと進む。
隊列はレフィーメを先頭に、リユ、僕、ヘニーの順だ。
ヘニーはエルフなのだが、身体は小さい。最後方で、弓形の杖を構える。
リユはドラゴンの血が流れている、竜人だ。そのためか、メンバーでもっとも背が高かった。
レフィ―メは、僕とリユの間くらい。ヘニーよりやや背が高い感じ。とはいえ、パーティで最も重装備であり、頼もしい。
彼女は出会ったときには捕まっていたので、弱いと印象を持たれているのがコンプレックスらしい。
「それは、民衆を盾に取られて非武装に徹したんでしょ? 立派な王族じゃないか」
「違う。民衆を守れていない時点で、ダメな王族」
ストイックな王族だこって。
ドワーフが納めるテッシムは、ピドー国王の策略によって壊滅させられかけた。今は、「ピドー絶対滅ぼす国家」になっている。実際、七割のテッシム兵が、ピドー打倒に参加した。
「わたしも参加したかった。ピドーをこの手で握りつぶせるなら」
「キミは、我が国を守ってくれ。血を流す必要はない」
「うむ。私怨を建国に注ぐべきではない」
レフィーメはすぐに、拳を引っ込める。とはいえ、いずれまた怒りは再燃するだろう。そのときは、好きにさせてやるか。
「敵です。左サイド!」
僕たちは、身構える。
「クモ型が四部隊、カエル型が七部隊、トカゲとウシ型が、三部隊ずつです!」
魔物たちはすべて、ピットフィーンドに寄生されている。何者かが、ダンジョンを汚染した可能性は高い。
野盗は……魔物のエサになったっぽいな。野盗の巣窟を、魔物が襲ったのだろう。
「大型魔獣は、任せて」
レフィーメのハルバートが、風を切った。ミノタウロスの腕や足を軽々と吹き飛ばし、首をはねる。魔族に汚染された魔物は、従来より数倍のパワーを持つ。それをあっという間に片付けるとは。
「すごいです。レフィーメさん」
いつのまにか現れたコウモリ型モンスターを、ヘニーが丁寧に一体ずつ撃ち落とす。レフィーメの戦闘の分析に夢中で、敵なんて見てもいない。
「そうだよね。とんでもないよ」
クモやトカゲの魔物を【電光石火】で貫きながら、僕はレフィーメの奮闘ぶりを観察した。
カエル型モンスターが、唾液を吐く。
すんでのところでリユはかわしたが、服が唾液をかすめてしまう。
「くう、毒じゃ!」
唾液付着地点から、リユのドレススーツが溶かされてしまった。
リユの太ももが、あわらになる。
「ゲゲゲーッ!」
カエルモンスターが、ゲラゲラ笑いながら手を叩く。殺人より、人の羞恥を見るのが楽しいのか。
「ようもやってくれたのう! きさんらは、骨を晒せや!」
リユの剣から、紅蓮の炎が放たれる。炎は、カエルたちを灰にした。
「ピットフィーンドが取り憑いたモンスター相手に、ここまでできるとは」
「いや。そうでもないわい」
レフィーメから称賛を受けても、リユの顔は晴れない。
「ちょっと触らせて」
溶け落ちたリユのスカートを、レフィ―メがめくった。
「お、おう!?」
スカートを抑えつつ、リユはされるがままに。
「これ、誰が作ったの?」
「僕だけど」
レフィーメに質問されて、僕は手を上げた。
「雑」
酷い言われようだが、事実なので仕方がない。
「これは、ダンナ様が作ってくれたんじゃ。無下に扱うわけには」
「わたしなら、もっと強い装備にできる。全員の装備を見直すいい機会」
そうかもしれないな。
「お願いできるか? こちらも、色々と実験したいんだ」
「承知した。お役に立てるなら」
装備品の足しになるかもと、僕たちは倒した魔物たちから素材を回収した。




