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Beyond of Cosmos =星巡りの物語=リゲル・ラナ編  作者: 詩紡まりん
『スチュアートリア帝国とその歴史』=赤い荒野の闘いとレッドリオン公国= リゲル歴3594年

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アイラ、リリアーナ「使徒」候補と出会う

アイラちゃん!今回もガブリエラ先生の授業、わくわくしたね~!!」

 リリアーナは、たった今、聞いた授業を思い返して、いつになくテンションが高いまま、自分の方からアイラに駆け寄って行った。


「うん!! ラファエル殿下かっこよかった~」

「ラファエル殿下って、レッドリオン大公様のことですもんね」

「わたしたちが住んでいたあの場所が、そんな荒地だったなんて信じられないよね?」


 レッドリオン公国出身のふたりは、アレクサンドル殿下とは現皇帝陛下であり、ブルーフォレスト少佐がブルーフォレスト先生であることも忘れて、ラファエル殿下の活躍に大興奮である。

 いずれも500歳前後のお方たちの話なので、彼女たちからすれば、いずれも生きた歴史上の人物である。


 興奮冷めやらぬリリアーナが言った。

「レッドリオン公国って南北に長い土地だから、わたしも行ったことが無い場所も多いけれど、今でも ライオン岩( Lion Rock)ってあったよね?」


 アイラもリリアーナの言葉にうなずきながら聞き返した。

「うん。聞いたことあるよ。今は緑豊かで岩山って感じじゃないらしいけれど、今でもアイザックの子孫が住んでいるのかな?」

 リリアーナは、ちょっと首をかしげ、唇に人差し指を当てながら考えてから言った。

「どうだろう? 」

「でも、魔の荒地から、どうやって今のレッドリオン公国なったかの歴史も教えて貰えると思うから楽しみだなぁ」


 学校へ行くだけでもあんなに憂鬱だったのに、勉強がこんなに面白いと感じるとは我ながら不思議に思うリリアーナであった。


 前回のガブリエラ先生の授業の後は、アレキサンダー先生との面接だったが、今日はアイラと共にWhite (ホワイト)Mage(マギ)クラスの授業に出ることになったリリアーナ。

 アレキサンダー先生の判定によると、リリアーナもアイラも弱いながらも神聖力(ホーリーパワー)が有り、しばらくはWhite (ホワイト)Mage(マギ)クラスで授業を受けながら神聖力(ホーリーパワー)を磨くようにと言われていた。


 ふたりとも平民出身で両親もHoly(ホーリー) Mage( マギ )も無ければ、本人達も魔法には無縁だったのはもちろん、これっぽっちの神聖力(ホーリーパワー)を感じたこともなかったので、自分たちに神聖力(ホーリーパワー)があるとは思えなかった。

 それでも、ふたりとも努力次第でWhite (ホワイト)Mage(マギ)には成れるとのことなので頑張ろうと決意していた。


 この後の授業は、大学内から出て野外での魔法術の授業だった。

 さきほど、ガブリエラ先生の授業で黒魔術と|Black(ブラック) Mage( マギ )の怖さを聞いたばかりなので、自分たちが習得する魔法にも多少の恐怖を感じていた。


 魔法術の先生は、アグネス・イザベラ・ブレッシング先生だった。

 入学して初めての授業で教わった先生である。

 あの時は緊張していて、まともに先生の顔を見ることもできなかったリリアーナ。

 だが今は、だいぶ学校と人に慣れて来ていたので先生に話しかけられても平気な気がしていた。


 野外での魔法術の授業は、学校の近くの森の中で行われた。

 この森は、他の場所より魔力や神聖力(ホーリーパワー)未熟な者でも他に惑わされず自分の力を感じやすくなっていた。

 授業の間は、Holy(ホーリー) Mage( マギ )である先生方がこの森全体に結界を張ってくれている。

 おかげで、他の場所のように他の人の思念が流れて来て邪魔されたり、魔術の余波が流れて来たりはしない。

 いわば雑音、雑念が入りにくい環境になっているのである。


 リリアーナたちWhite (ホワイト)Mage(マギ)初心者は、木の葉や枯れ枝を自分の意志で動かすテレキネシスの練習からだった。

 今まで、そんなことをしようと思ったこともなかったので、リリアーナは出来る気がしなかった。


 すると、アグネス先生が近寄って来て

「まず、自分が自分の力を信じてあげなければいけませんよ」

「自分が自分の可能性を否定から入ってはなりません。私には出来る!と強く思って下さい」

 と言った。

 アグネス・イザベラ・ブレッシング先生は、Holy(ホーリー) Mage( マギ )だが、魔術も使える方だった。


 リリアーナは、

「あれ?どこかで誰かに同じことを言われた気がする」

 と、思いながら

「はい」

 と、答えて

「私にもできる」

「私にもできる」

「私にならできる」

 と、何度も念じてみた。


 すると、かすかかに木の葉が地面から浮かび、枯れ枝が横に動いたような気がした。


 横で見ていたアグネス先生が、

「まずは、自分が自分を信じて下さいね?」

「自分の力を自分が信じてあげなければ、他人は信じてくれませんよ」

「できないと思う人には、できない結果しか無いのです]

神聖力(ホーリーパワー)は、自分の中に宿る力ですから、自分で引き出すしかありません」

「それに対して、魔法は世界を取り巻くものを活用し、自分の思う通りに動かす力なのです」

「どちらの力も、まずは自分の力を信じなければ何も始まりません!!」


 アグネス先生の言葉を聞きながら、ミラ・ローズの食堂で先輩たちがおっしゃっていた事を思い出していた。

 先輩たちは、アグネス先生の口癖を真似して語っていたことに今更ながらに気づいて、ちょっとほくそえんでしまったのでした。


 そして、もう一度、自分の力で木の葉を動かすイメージで念じてみた。

 すると、木の葉が風に舞い上げられたかのように持ち上がった。


「先生、できました! アグネス先生!!」

 と、叫ぶようにリリアーナが先生を振り返ると

「まだまだですが、大きな一歩です。今の感覚を忘れず練習して下さいね」

 と、おっしゃった。

 アグネス先生は、そう言いながらもリリアーナの神聖力(ホーリーパワー)の可能性を感じ取られていた。

 神聖力(ホーリーパワー)が皆無の初心者には、詠唱無しのテレキネシスだけでは物体を動かすことは出来ないからである。

 しかし、それをあえてリリアーナ本人には伝えなかった。

 神聖力(ホーリーパワー)とは、自分の魂に宿るものなので、その最大値は人により異なる、いわゆる生まれ持った才能のようなものである。

 それを最大限まで引き出せるかも本人の努力次第なのである。


 木の葉を動かせたリリアーナは、嬉しくなって何度も舞い上げてさせてみた。

 しかし小枝の方は重さを感じるわけではないのに、なかなか動いてくれなかった。

 手で持つなら、木の葉方が軽くて小枝の方が重いから、力が足りないとわかるのだが、手で持つわけではないのに、この差はなんなのだろうか?

 別の場所では、切株を輪切りにしたものを縦に置いて的にし、それを打ち抜いている人もいた。

 魔法とは奥が深いものなのだなと実感していた。


 しばらく練習し太陽が頭上高く上がった頃に、

「では、お昼休みにします」

「みなさん、お弁当を取りに来てください」

 と、言う先生の声がして、森のあちらこちらに散っていた生徒たちが集まって来た。


「野外授業の時は、お弁当が出るのね」

「外で、お弁当を食べるなんてピクニックみたいだわ」

 と、リリアーナはちょっと嬉しくなった。


「リリアちゃん!一緒に食べよう」

 と、アイラに誘われて

「うん!」

 と、リリアーナは、受け取ったお弁当を持って元気に返事をした。


「お友達と外でお弁当を食べるなんて初めだわ」

 魔法の練習は、なかなか上手くいかなくても、皆と一緒に外でお弁当を食べるられるなら森での校外授業も悪く無いと、リリアーナは思った。


「リリアちゃん、どこで食べようか?」

「あそこの川の近く、木の下とか良くない?」

「いいね。そこにしよう!」

 と、ふたり仲良くお弁当を包んでいたスカーフをそれぞれ敷いて川岸に座った。


「私、お友達とお外でお弁当食べるなんて初めて」

 と、リリアーナが言うと

「私もこの学校に来るまでは無かったよ」


「アイラちゃんがいるから楽しい」

 と、素直にリリアーナが言うとアイラも嬉しそうに

「私も!」

 と、言ってふたりで顔を見合わせて笑った。


「私は、村の学校へ行っていた時は、人の感情が勝手になだれ込んで来て怖かったんだ。だから、お友達もできなかったし、学校なんて行きたくなかったの」

 というリリアーナの言葉を聞いて

「私も同じよ、リリアちゃん」

 と、アイラも言った。


 ふたりは、しみじみと心の中で

「この学校に入れて良かった」

 と、つぶやいて頷き合った。

 ふたりには、お互いに言葉を口に出して何も言わなくても言いたいことが伝わって来ていた。

 こういう感情の共有は悪くない。

 むしろ心地良かった。


 ふたりで、鳥のさえずりを聞きながらお弁当食べていると、

 人間の声とは違う声が聞こえた気がして、ふたり同時にハッとした。

 そう、ふたりとも動物の言葉がわかるのである。


「アイラちゃん聞こえた?」

「リリアちゃんも?!」

「うん!!昔から動物の言葉が聞こえちゃって、村の人からは気味の悪い子供だって思われていたの」

「私も似たようなものよ。だから、この学校に入れたんだけれどね」

 と、言いながら、ふたりは声のする方へ歩いていった。


 すると、大きな木の下に鳥の巣らしきものが、逆さまになって落ちていた。

 そして、その下から、

「たちけて~」

 と、いう声がした。


 ふたりは、そっと逆さまになった鳥の巣を持ち上げてみた。

 すると、そこにはフクロウの雛が居た。

 5羽いたうちの3羽がすでに息絶えており、辛うじて生きていた2羽が助けを求めていたのである。

 ふたりは、生きている雛をそれぞれ一羽ずつそっと両掌で包み、冷えたその体を温めてあげた。


「どうしたの?君たち」

 ふたりが尋ねと、


「おちた」

「よる、おちた」

「こわい、こわい」

 と、雛たちは口々に訴えた。


「ママとパパは、どうしたの?帰って来ないの?」

 それぞれの両手の中の雛に聞くと

「へび!!」

「にょろにょろ…・」

 と、二羽の雛たちは震えるようにして鳴いた。


 どうやら、この子たちの親鳥は、雛を守って蛇と闘ったまま帰って来ていないようだった。

 巣が落ちていた傍の大きな木を見上げると、木の幹の中ほどに大きな室があった。

 この子たちの巣は、そこ作られていたらしい。

 おそらく、へびが、雛たちを狙って入り込んだ時に、親鳥とバトルになって巣が落ちたのだろう。


 アイラとリリアーナは、亡くなった三羽を巣があった木の下に丁寧に埋葬した。

 それから、二羽を連れて先生の元に戻った。


「先生、この子たちが巣ごと木の下に落ちていて、私たちに助けて!って、言ってきたんです」

「親鳥は、夜から戻って来ないみたいなんで…どうすれば良いでしょうか」


 リリアーナとアイラは、今にも死んでしまいそうな二羽の雛を助けたい一心で先生に迫った。


 涙ぐみながら詰め寄って来るふたりに、アグネス先生は言った。

「ふたりには、この子たちの声が聞こえるのですね?」

 と、確認しながら両手で、それぞれの雛に手をあててそっと目を閉じた。

 そして、先生は言った。

「どちらも命に別状はなさそうです」


 そして、雛の上に置かれた先生の手から放たれた暖かいオレンジ色の光が二羽を優しく包んだ。

「ちょっと体が冷え切っていましたので体温を上げておきました」


 掌の上の雛たちの体がみるみる温かくなるのを感じて

「ありがとうございます!! アグネス先生!」

 ふたりは、それぞれの雛に頬ずりしながら先生にお礼を言った。


「この雛たちと話せるなら、あなた達と一緒に暮らしたいか聞いてみなさい」

「もし、一緒に居たいと言ったら連れて帰って一緒に暮らしなさい」

「あなた達が立派なHoly(ホーリー)Mageになった暁には、それぞれの使徒になってくれるでしょう」

「そういう運命です」

 と、アグネス先生が、きっぱりとした口調で言いったので


「もし、私たちがHoly(ホーリー)Mageになれなかった時はどうなるのでしょうか?」

 と、リリアーナが聞くと、アグネス先生は

「簡単です。ペットになるのです」

 と、さらにきっぱりと言い切った。


 リリアーナとアイラは、それぞれの雛に

「わたしのところに一緒に来る?」

 と、問いかけると


「いっしょ! いっしょ!!」

「にょろにょろ、こわい」

「ぼっち、こわい」

「おなかすいたピー」

 と、口々に叫んでいた。


 自身も動物の言葉がわかるアグネス先生は、

「あらあら、早速、あなた達は腹ぺこベイビーのママになったみたいね?」

「ごの子たちのごはんを調達しないとだわ」

 と、雛たちの頭を撫でながら言った。


「今日のところは、ふくろうの使徒を使っている上級生にお願いして、餌を調達して貰いなさい」

「でも、自分たちでちゃんとこの子たちの餌の用意もでるようにならないとだから、先輩にしっかり教わりなさいね?」


 学校に戻ると早速、ふくろうの使徒を使っている上級生をアグネス先生が紹介してくれた。

 ふくろう主人(マスター)Holy(ホーリー) Mage( マギ )の上級生は、すぐに腹ペコ雛たちに餌を分けてくれた。

 ふくろうの主人(マスター)である先輩も使徒のふくろうも、雛を見ると我が子のように心配してくれた。

 ふたりの新米ふくろう飼いたちは、これからも相談に乗って貰えそうだと心強く思っていた。


 彼女たちの今の住まいである大学寮「ミラ・ローズ」は、使徒(しと)との同居、使徒候補のペット持ち込みオッケーである。

 ふくろうの雛の餌がマウスである衝撃はさておき、アイラもリリアーナも初めての自分のペットができたのである。

 今は、使徒ではなくペットであるが、いずれは先輩のように主人((マスター)と|使徒(しと)の関係になりたいと思った。

 明日から、また魔法の練習に励みWhite (ホワイト)Mage(マギ)を目指そうと決意を新たにするふたりであった。



挿絵(By みてみん)

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